授業科目

物性化学特論
Advanced Condensed-matter Chemistry

担当者

教授   菅原 正
後 火3

単位

2

到達目標

本講義の到達目標は、受講生が物性(導電性、誘電性、磁性など)を原子、分子およびその電子構造の特徴に基づいて理解することにある。さらに新しい物性を目指した物質設計、物質構築の基礎を身につける。理学研究科のカリキュラムポリシーおよびディプロマポリシーに従い、学部で修得した物理化学と有機化学および無機化学の知識を基盤として、物理化学について体系的に理解できるようにする。

授業内容

この講義では、物質の示す光物性、導電性、誘電性、磁性などの基礎を学んだ後、無機物、金属酸化物、分子性物質それぞれの特徴を活かした物性発現機構を概観する。さらに新しい物性を目指した物質設計、物質構築のための基礎を修得する。

授業計画

各回の授業計画は次のように予定しているが、時間の関係で若干前後する場合もある。
ワーポイントで講義した場合は、そのスライド、および解説文を印刷配布する。学期中に2回、講義内容をまとめた総合問題に関し、小テストを行う。
 予習としては、前回の講義で予告された課題について、簡単なまとめを作成し提出すること。復習としては、講義を聴いた後で、同じ課題について改めてまとめ直す、あるいは新たに与えられた課題について、次回の講義にレポートとして提出すること。予習と復習には1回あたりあわせて4時間程度の自己学習が想定される。

01.物性化学とは
   原子・分子集合体では、原子・分子配列と密接に関連した電子構造に基づき、外的刺激に応じて特徴ある物理的性質を示すこれを物性という。物性研究における物質設計, 合成, 構築, 計測, 物性解析の重要性について述べる。
02.ヒュッケル分子軌道法の原理
 原子集合体の示す物性は、原子クラスターさらにはマクロ集団の電子構造、分子集合体の場合は、分子の電子構造を表す分子軌道のその間相互作用により、もたらされる。その基礎となるヒュッケル分子軌道法における原子すらスターおよび分子軌道のエネルギー、固有関数の求め方の原理について解説する。
   分子軌道法、 LCAO近似、変分法 永年方程式、固有値、固有関数
03.ヒュッケル分子軌道法の計算法
ヒュッケル分子軌道法の原理についての解説を受けた後に、個別の限シックラスター、π共役分子を対象として演習問題を解くことで、実践的な能力を身につける。
クーロン積分, 共鳴積分, 重なり積分
     永年方程式、軌道エネルギーの一般解, 分子軌道関数の一般解
     電子構造の次元性、π共役系有機化合物の電子構造
04.小テストとその解説
05.光物性 I(光と分子の相互作用)
   分子と光の相互作用、光の吸収における選択律、吸収強度についてヒュッケル分子軌道法で求めた分子軌道の対称性を基に理解する。
06.光物性 II(光吸収の後続過程)
光吸収の後続過程として、フランクコンドンの原理、蛍光、燐光, 項間交差,
07. 光物性 III(エネルギー移動、電子移動)
溶液における分子間のエネルギー移動, 電子移動としてのエキシマー、エキシプレックス発光, 分子集積体および分子性結晶における励起子移動、光誘起電子移動 マーカの電子移動理論について論ずる。 
   話題:光合成と太陽電池
08.導電性 I(導電性の原理と導電性高分子)
   ボンドからバンドへ 次元性, 金属, 半導体, 絶縁体  
バンド伝導, ホッピング伝導, トンネル伝導 
09.導電性 II (酸化物誘電体・超電導体)
   強誘電体:金属酸化物, リン酸塩, 電子分極, イオン分極, 配向分極
      話題:プロトンダイナミクス
10.導電性 III(分子性導電体)
   ドナー・アクセプターの設計・合成 クーロン反発と移動積分 パイエルス転移   
11.小テストとその解説
12.磁性 I (磁性の原理)
   スピン角運動量と軌道角運動量
   酸化物磁性体
    強磁性体, 磁石とヒステリシス, 反強磁性体, 常磁性体, 分子場近似
13.磁性 III(分子磁性)
分子磁性, 高スピン分子,スピンの非局在化,スピン分極,有機磁性体
話題:磁性・導電性共存系, スピンエレトロニック・デバイス
14.総復習

授業運営

主にパワーポイントで講義するが、同時に資料と解説文、演習問題を配布する(演習問題は翌週略解を配布)。テーマによって演示実験を行う。

評価方法

期末試験(80 %), 中間テスト演習の解答 (20 %)により総合的に評価する。

オフィスアワー

木曜の講義終了後、火曜日の15:30 ~ 17:00に2号館235研究室へ(内線2716)

参考書

足立吟也、島田昌彦『無機材料科学』[化学同人]
菅原正、木村榮一『超分子の化学』[裳華房]
村田滋『光化学―基礎と応用―』[東京化学同人]

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