授業科目

動物生理学
Animal Physiology

担当者

教授   小笠原 強
後 木2

単位

2

到達目標

受講生の到達目標は以下に挙げるとおりである。いずれにしても、動物生理学Ⅰを前もって履修しておくことが望ましい。

① 動物個体内の統合の意義を「体感」できるようになること。
② 内分泌(ホルモン)系と神経系に関わる生命現象の歴史的経緯をとおして、本科目の目的と意義とを把握できるようになること。
② 生命の基本単位である「細胞」を常に意識しながら学修する習慣を身に付けること。
③ あらゆる生理機構について「なぜ、何のために?」と自問自答する習慣を身に付けること。
④ きわめて複雑に見える動物の生理機構を単純な系として捉えるようになること。
⑤ 動物の基本的な情報連絡機構について、中学生でもわかるようなレベルでうまく説明できるようになること。

授業内容

動物の『ホルモン』と『神経』に関して、広い視野からの講義を行う。機能的に分化した細胞の統合、連携つまり動物一個体の統合を軸にした広汎な視点から解説する。動物の体液中には無数の化学物質が含まれ、さまざまな役割を果たす。そのなかには、「シグナル分子」も存在する。すなわち、自らは具体的な仕事はせず、各細胞にそれ独自の生理作用を引き起こさせる情報伝達を担う。これは特定の分子のみを選別結合する機構が、特定の細胞に備わっているために過ぎない。さらにシグナル分子のon/off機構などが加わって、全身を巡る体液を介する連絡系を形づくる。これを内分泌現象といい、無線系の情報伝達である。一方、神経系は有線系とみなされる。生体電気系の迅速な伝導系ではあるが、液性の伝達系を神経細胞の間に織り込んだ情報連絡系である。いずれにしても、ホルモンと神経系が相まって一見煩雑で壮大なネットワークが構築される。本講義では最新の知見をこと細かく紹介する予定はない。個体内ネットワークの原理原点は意外にシンプルであり、細菌の索餌ならびに逃避行動にまで遡る。これを軸として、統合系の現象の「正体」を理解する基礎力を育む。進化適応上の比較検討、ならびに本分野の歴史的経緯を含め、個体内、あるいは個体同士の統合システムの意義を広い視野から理学的に捉えられるよう諸君らとともに検討する。

授業計画

特定のテキストは使用しない。予習としては事前に配布する資料を眺めておく。ともかく、全神経を研ぎ澄ませて板書中心の授業に集中すること。英文の資料を配布して解説するので、和訳を試みてノートに添付しておく。毎回の講義のタイトルや区分けの意味を考え、講義ごとの位置づけ、つまり生理学のどのような部分をいま探索しているのかをよく意識すること。板書と教員の「はなし」からノートをとる。その日のうちに短時間でも必ずノートを整理して(見直して)おくことが肝要である。以下のような項目で講義を進める予定である。聴講生諸君らの理解度を観察しながら講義予定を変更する場合も多々ある。

01. 生物の外部環境と内部環境
02. 細胞膜の水・電解質(イオン)代謝                   
03. 生命現象全般における連絡と統合 ― 化学物質によるコミュニケーション ―                    
04. 動物一個体の水・電解質(イオン)代謝
05. 液性伝達と電気的伝導の概念           
06. 内分泌学の歴史と概要 ― 比較内分泌学的視座から ―       
07. 神経系 Ⅰ ― 細胞の電気化学的側面 ―           
08. 神経系Ⅱ ― 生体電気系による統合 ―      
09. 神経系III ― 神経細胞(ニューロン)とシグナルの伝導 ―         
10. 内分泌系Ⅰ ― ホルモンによる総合的な調節機構 ―      
11. 内分泌系Ⅱ ― ホルモンの産生と分泌 ―
12. 内分泌系III ― 化学物質の特質と生理機構 ―
13. 動物の生理機構の特色   
14. 動物の行動と外部環境適応

授業運営

板書と口述を中心とした伝統的・古典的な授業形態で進行する。必要最低限の資料プリント(英語)を配布し、提示装置でスクリーンに東映する。重要なポイントについては何度でも繰り返す。現在位置、つまり広範な生命現象の海図(チャート)のどのような位置にいるのかを常に確認しつつ進行する。

評価方法

定期試験によって評価する。

オフィスアワー

講義直後にのみ質問に応じる。

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