授業科目

基礎遺伝学
Basic Genetics

担当者

准教授 安積 良隆
前 木4
助教   岩崎 貴也
前 木4
助教   藤田 深里
前 木4

単位

2

到達目標

 生物科学科ではカリキュラムポリシーに従い、分子から細胞、個体、生態系に至る各階層の生命現象について講義する科目を配置しているが、本講義は生命に特有の現象であり、個体の集団レベルの現象である遺伝の基礎について解説する。
 人間や動物、植物で見られる形態形成や生理反応などの様々な生命現象の根本的な理解には遺伝子の働きを理解することが不可欠である。本講義は、受講生が遺伝子の構造や発現制御のしくみ、世代間の伝達機構に関する基本的な知識を習得することを目標とし、それによって、生物学に関する授業をより深く理解する学力と日常生活で見聞きする事柄を科学的に分析する能力を養う。

授業内容

 本講義では、メンデルが発見した法則が基礎となる古典的な遺伝学とネーゲルらの染色体等の細胞内構造の観察により発展した細胞学の遺伝に関する部分を解説した後、ワトソンとクリックによるDNAの二重らせんモデルの提唱から始まる分子遺伝学や遺伝子操作について講義する。さらに、細胞機能や発生の遺伝的制御や進化との関わりが深い集団遺伝学と量的形質の遺伝についても取り組む。

授業計画

 各回の講義内容は一応次のように予定しているが、時間の関係で若干前後する場合もある。
 授業では、各回、テーマとして掲げた項目について、最も基本的で重要と考えられる事項を重点的に講義する。関係する事がらを網羅的に解説する時間は無いので、より広い知識を得るためには参考書での自習が不可欠である。各回共通の予習として、参考書を調べ、各回の内容に該当する部分を予め読んでくることが必要である。復習として、配布する資料を見直すことで授業内容を振り返り、参考書やWEBを用いてより広い知識を身につけてもらいたい。予習や復習などを含めて、各回4時間程度の自己学習を想定している。

1  ガイダンス/メンデルの法則
シラバスの記載事項を確認し、メンデルの発見した遺伝の法則について解説する。【予習】メンデルの法則について調べておくこと。
2  メンデルの法則に従わない遺伝
メンデルの法則に従わない遺伝がどのようになっているのかを解説する。【予習】メンデルの法則に従わない遺伝にはどのようなものがあるか調べておくこと。
3  遺伝の染色体的基礎
染色体の構造と、体細胞分裂時と減数分裂時の染色体の挙動について解説する。【予習】染色体の構造と細胞分裂について調べておくこと。
4  連鎖と遺伝子地図
連鎖と呼ばれる遺伝子の伝達現象と、遺伝子の機能の解明に重要な役割を果たす遺伝子地図の作製法について解説する。【予習】連鎖と遺伝子地図について調べておくこと。
5  遺伝学的な実験の数値的処理
遺伝の実験を行った時の結果の統計処理について解説する。【予習】簡単な統計処理の計算方法について調べておくこと。
6 遺伝物質としてのDNA
遺伝子の実体としてのDNAの発見の経緯、およびDNAの構造について解説する。【予習】DNAの構造解明の経緯について調べておくこと。
7 遺伝形質が発現するまでの過程
遺伝情報が形質として現れる過程について解説する。【予習】クリックの提唱したセントラルドグマについて調べておくこと。
8 遺伝形質の発現制御機構
遺伝形質の時間的・空間的・量的制御の仕組みについて解説する。【予習】一般的な遺伝子発現のしくみについて調べておくこと。
9 発生の遺伝的制御
細胞や組織の形成に関わる遺伝子とその機能について、代表例を挙げて解説する。【予習】細胞や組織の形成に関わる遺伝子について調べておくこと。
10  人為的な遺伝形質の操作
人為的に遺伝子を操作することにより形質を変化させる技法について解説する。【予習】遺伝子導入法について調べておくこと。
11  集団遺伝学の基礎
生物集団内における遺伝子の挙動を明らかにする集団遺伝学の基礎として、ハーディー・ワインベルグの法則について解説する。【予習】ハーディー・ワインベルグの法則について調べておくこと。
12  自然選択
自然選択によって集団内の遺伝子頻度がどのように変化するのか、それによってどのように適応進化が起こるのかについて解説する。【予習】自然選択について調べておくこと。
13  遺伝的浮動
自然選択をともなわず、偶然性による変動(遺伝的浮動)によって集団内の遺伝子頻度がどのように変化するのかについて解説する。【予習】遺伝的浮動について調べておくこと。
14  量的形質の遺伝
生物集団でみられる形質の多くは複数の遺伝子の影響を受けており、連続的に変化する(量的形質)。そのような場合の遺伝について解説する。【予習】量的形質の遺伝について調べておくこと。

授業運営

 参考書を紹介した上で、適宜、資料を配布する。すべての講義はスクリーンに資料を提示しながら行う。多くの授業では、レポートを提出してもらう。授業中に小テストを行うこともある。

評価方法

定期試験の結果(50%)とレポートや小テストの結果(50%)から最終成績を算出する。講義を4回以上欠席したものは評価の対象としない。

オフィスアワー

特に設定しない。随時、質問等は受け付ける。場所は各教員が授業内で指示する。

参考書

D.L.ハートル、E.W.ジョーンズ『エッセンシャル遺伝学』[培風館]
中村千春『遺伝学』[化学同人(基礎生物学テキストシリーズ)]

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