授業科目

物理学の歴史
History of Physics

担当者

講師   齋藤 和之
後 月1

単位

2

到達目標

R.ファインマンは「定量的な観測により定量的な法則を見つけることこそが物理学の真髄である」と彼が執筆した教科書で述べている。古代人が自然を畏怖した時代、ガリレオからアインシュタイン、そして現代に至る近代物理学の歴史をたどることにより、受講生が、物理学とは何か、科学とは何かを知ることが出来るようになることを到達目標とする。
理学部のカリキュラム・ポリシーに従い、近代物理学の発展の歴史を領域ごとに整理して講義する。この講義は、これまで物理学を学んで来なかった学生でも、高校数学レベルの知識があれば理解できるように考慮している。受講生が物理学に興味を持つ第一歩としたい。

授業内容

 歴史とは過去を知ることにより未来への道標を思考するものである。講義では単なる発明発見の羅列ではなく、その発明発見がなされた社会的背景、その発明発見によって作られた新たな物理学的世界像に関連付けて講義する。また、物理学を基盤とする科学技術の課題、社会的影響についても考察する。
昨年度より延長された講義時間を利用し、課題、小テストの解説など学生へのフィードバックを充実させている。

授業計画

 各回の授業を以下に示す。物理学の主要分野を概ね2週ごとに区切って講義する。
講義資料(30頁程度)はdotCampus上に準備するので、学生は自由に入手できる。対象領域が広範にわたるので、学生は、どのような講義が行われるのか、事前に予習、準備が必要である。各回あたり約4時間の予習・復習を想定している。講義資料は1週間まえに提供するので、学生はそれを利用して予習する。予習のポイントは下記の【予習】に示した。特に関連する物理学の基礎を予め復習して置くことが望ましい。特に復習に重点を置く。復習としては講義資料中で紹介する図書、参考図書を読むことを期待する。科学的思考力を高めることに役立つ。講義時間内で毎回15分程度の「復習、今日のまとめ」の時間をとるともに、各章に復習のきっかけとなる「演習問題」を提供し一部は解説し、一部は課題とする。
各週の授業内容は以下のとおりである。

1. はじめに:物理学は自然との対話である。
シラバス記載事項の確認。【予習】自然との対話は「はかる」ことから始まる。「はかった」量の単位、大きい数、小さい数の表記法について調査して置く。

2. 神の世界から科学への道(力学の歴史 1):最初は自然への畏怖。暦とは。
天体の運動と暦の関係を学習する。【予習】古代人がどのような自然現象から季節や時間を知ったか調査しておく。

3. 神の世界から科学への道(力学の歴史 2):観測こそが科学への道。古典力学の完成。
コペルニクス、ガリレイ、ケプラーに始まり、ニュートンを経てラプラスによって完成される古典力学の歴史を学習する。【予習】ニュートンの運動の3法則などについて調査しておく。

4. 熱の理論から宇宙、情報へ(熱・統計力学の歴史 1):気体が生み出す力 。熱機関の利用。
蒸気機関から内燃機関、ロケットに至る熱機関の発展と活用の歴史を学習する。【予習】気体が生み出す力の源泉である気化、圧力などについて調査しておく。

5. 熱の理論から宇宙、情報へ(熱・統計力学の歴史 2):エントロピー。熱力学の進歩。
熱力学の各種法則から分子運動論、統計力学に至る理論的発展を学習する。【予習】熱機関の効率の解析法について調査しておく。

6. 電気と磁気から相対性理論へ(電磁気学の歴史 1):巨人ファラデー 。電磁現象の発見。
ボルタ、ファラデーなどによって発見された電磁現象がマックスウェルの方程式として整理されるまでの歴史を学習する。【予習】身近にある機器にはどのような電磁現象が利用されているか調査しておく。

7. 電気と磁気から相対性理論へ(電磁気学の歴史 2):電磁波と応用。電磁現象の整理と活用。
マックスウェルが予測した電磁波が各種電子機器に利用されて来ている歴史を学習する。【予習】電子機器と利用されている電磁波の周波数の関係について調査しておく。

8. 電気と磁気から相対性理論へ(電磁気学の歴史 3):特殊相対性理論。電磁波と新しい物理学。
光が電磁波である、との発見から生まれた特殊相対性理論の歴史、特殊相対性理論の世界について学習する。【予習】インターネットなどを利用し、アインシュタインの業績などについて調査しておく。これは次章とも関連する。

9. 波と粒子、量子的世界(量子論の歴史 1):光の実態、電子の発見。光の二重性。
光の実態が解明される歴史、光電子放出の発見から光量子仮説への歴史を学ぶ。【予習】粒子の運動と波の違い、音波と電磁波の伝搬の仕方について調査しておく。

10.波と粒子、量子的世界(量子論の歴史 2):物質波、観測の限界 。不確定性理論。
運動量、エネルギーの量子力学的表現を学習し、さらに不確定性理論について学ぶ。【予習】古典力学における「ラプラスの悪魔」を調査しておく。

11.原子、分割不可能?(原子論の歴史):周期表。原子を構成するもの。素粒子と宇宙。
分割不可能と考えられていた原子が分割可能となった歴史を学習する。【予習】周期表と原子の化学的、物理的性質の関係について調査しておく。

12.半導体が拓いたITの時代(半導体の歴史 1):1947年のXmas、トランジスタの誕生。集積回路、軽薄短小。
半導体集積回路の歴史、その背景にある指導原理「軽薄短小」について学習する。【予習】IT時代を牽引する集積回路はどのように利用されているか調査しておく。

13.半導体が拓いたITの時代(半導体の歴史 2):光半導体。日本半導体の栄枯盛衰。物理と技術。
集積回路、光半導体などの発展の中で日本が果たしてきた歴史を振り返り、物理学と技術との相互作用について学習する。【予習】現在、携帯電話(スマートフォン)などの出荷量の多い国はどこかなど調査しておく。

14.まとめ:科学技術の課題、ニュートンの忘れ物。物理学の未来。
現在の物理学が抱えている問題、現代物理学の課題について整理し考察する。【予習】講義資料を参考にし、物理学と社会との関わりについて調査しておく。

授業運営

全て講義形式による。
受講生はdotCampus上から授業資料を1週間前には入手可能である。
各授業で小テスト、演習の解説を行い、学生の理解度を把握し、向上を目指す。演習課題の中からレポートを課す。レポートでは物理的思考を養うことを目的とする。模範解答を示しフィードバックする。

評価方法

期末試験は行わない。レポート形式の課題、小テストにより成績を評価する。
各週のまとめとして講義時間内に小テストを行う。講義主題ごとに課題(レポート、宿題)を課す。課題(レポート)は8回程度である。単なる調査でなく、各自の意見が述べられている方が高い評価が得られる。

評価方法:
課題(レポート);90%
小テスト;10%

オフィスアワー

随時、教室で対応するほか、教師あてにメールすれば原則として24時間以内に回答する。
教師のメールアドレスはオリエンテーションの際に示す。
成績に関する問い合わせは教務課を通してのみ対応する。

参考書

小山慶太『物理学史』[裳華房]2008
アインシュタイン(石原純 訳)『物理学はいかに創られたか(上)(下)』[岩波書店(岩波新書)]1940
高木仁三郎『いま自然をどうみるか』[白水社]

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