授業科目

相対性理論・宇宙論
Relativity and Cosmology

担当者

教授   長澤 倫康
前 月4

単位

2

到達目標

本講義の到達目標は、受講生が一般相対性理論の基礎を学ぶことにより、その応用として時空そのものを記述する方程式であるアインシュタイン方程式を理解し、簡単な場合に解いてみることにより高密度天体やブラックホールの性質および宇宙進化の様相を実感できることです。また、理学部のカリキュラム・ポリシー、特に数理・物理学科のカリキュラム・ポリシーに従って、これからの科学技術社会を担う研究者や技術者として生涯にわたって通用する基礎を与えることを目指します。

授業内容

一般相対性理論は、量子力学とならぶ20世紀の物理学の画期的な成果であり、2015年9月に理論の予言する重力波が検出されたことも記憶に新しいところです。2017年8月には中性子星合体からの重力波も観測され、本格的なマルチメッセンジャー天文学の時代が幕を開けました。日夜進歩する我々の宇宙理解の基盤となる、一般相対性理論から導かれる標準的な宇宙論であるビッグバン宇宙論について学び、物理理論と天文観測から得られる宇宙の歴史や組成・構造に関する様々な知見を紹介します。講義は、大まかには最初に挙げた使用書である「相対性理論」に沿っていますが、適宜他の参考書や最新の研究成果も引用します。

授業計画

宇宙論においては、一般相対性理論だけではない様々な分野の物理学が利用されます。また、具体的な計算を実行するには数学の手法も必要となります。他の物理系及び数学系の科目を履修していると、より理解が深まることでしょう。予習と復習を合わせて4時間程度の自己学習を想定しています。以下の各回の記述を目安に使用書、参考書の該当部分を事前に読むことは、授業を理解する助けとなります。そして、普段の板書内容はもちろんのこと、課題を配りますので、これらをよく復習し、生きた知識として身につけて下さい。

第1回 時間と空間 【予習】形而上学的な宇宙論と自然科学における宇宙論の違いについて調べてみましょう。
第2回 特殊相対性理論とローレンツ変換 【予習】使用書1の1-1〜4を読み、座標変換と物理方程式の関係を考察してみましょう。
第3回 時空の相対性 【予習】使用書1の1-5を読み、時間や空間が座標系に依存することを認識しましょう。
第4回 等価原理 【予習】使用書1の第3章を読み、重力の持つ特別な性質を理解しましょう。
第5回 一般相対性理論とアインシュタイン方程式 【予習】使用書1の4-1〜5を読み、一般相対性理論で用いられる数学に慣れておきましょう。
第6回 時空の計量と測地線 【予習】使用書1の5-1を読み、曲がった時空における質点の運動について考察してみましょう。
第7回 球対称真空解とシュヴァルツシルト時空 【予習】使用書1の第6章を読み、恒星などの重力源の周りの時空の性質を知っておきましょう。
第8回 ブラックホール、重力波 【予習】使用書1の7-3〜5、9-4を読み、ブラックホールや重力波の数式での記述に触れておきましょう。
第9回 宇宙原理と一様等方宇宙 【予習】使用書1の8-1を読み、宇宙全体を一般相対性理論で扱う手法に慣れておきましょう。
第10回 進化する宇宙 【予習】使用書1の8-2を読み、一般相対性理論から進化する宇宙の描像が自然にもたらされることを理解しましょう。
第11回 ビッグバン宇宙論(標準宇宙論、膨張宇宙論) 【予習】使用書1の8-3および使用書2の2.5、3.8〜9を読み、宇宙膨張の観測的証拠を知っておきましょう。
第12回 宇宙の物質組成 【予習】使用書2の5.6〜7を読み、暗黒物質や暗黒エネルギーについて調べてみましょう。
第13回 標準宇宙論の問題点とインフレーション宇宙論 【予習】使用書1の8-4〜5および使用書2の2.6〜8を読み、インフレーションについて調べてみましょう。
第14回 宇宙創世と宇宙の未来 【予習】使用書2の第7章を読み、宇宙の始まりは今後の研究課題であることを認識しましょう。

授業運営

講義形式によります。課題は dotcampus を通じて配付します。
特に予習をする必要はありませんが、復習は欠かさないで下さい。なじみのない概念や初めて聞いた用語などは曖昧なままにせず、その意味や使い方を丹念に修得して下さい。また、課題中の問いはただ答えを覚えるのではなく、解き方を他人に説明できる程度に深く理解して、適用すべき状況で正しく思い出せるようにして下さい。

評価方法

期末試験の成績によって決定します。

オフィスアワー

自室(2-223)または卒業研究生実習室(6-227)にて、木曜日2限に応じます。
なお、授業中の質問も歓迎します。

使用書

佐藤勝彦『相対性理論』[岩波書店(岩波基礎物理シリーズ9)]1996年
佐藤勝彦 二間瀬敏史 編『宇宙論1ー宇宙のはじまり』第2版[日本評論社(シリーズ 現代の天文学2)]2012年
ジェームズ・B・ハートル『重力』[ピアソン・エデュケーション]2008年

参考書

Barbara Ryden,Introduction to Cosmology,Pearson Education,2003年
伏見賢一『宇宙物理学入門』[大学教育出版]2008年
松原隆彦『現代宇宙論』[東京大学出版会]2010年

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