授業科目

基礎物理化学
Basic Physical Chemistry 

担当者

教授   菅原 正
前 火4

単位

2

到達目標

本講義の目標は理学部の教育目標、カリキュラム・ポリシーに従い、学生が物理化学的考察により物質の集団に現れる化学現象の統一的な解釈を行えるようになることである。本講義では先ず、エネルギー保存則である熱力学第一法則について学ぶ。次いで、自発的変化の方向を示す熱力学第二法則、さらに、これらを組み合わせた自由エネルギーを学ぶ。また、自由エネルギーと平衡定数の関係を理解することで、化学反応の原理を学ぶ。受講者がこれらの法則、原理に関わる様々な公式の導出と関連する量の計算ができることが到達目標である。

授業内容

 化学の基礎を学修するには二つの立場から考える必要があります。第一の立場は構成単位である分子、さらには原子から出発し、これらの間に働く相互作用、集積過程を考え、原子・分子の性質、挙動を解明する『微視的』なものの見方で、基礎物理化学Iで学んだ事項です。もう一つは非常に多くの分子から成る集団が示す挙動を調べ、『巨視的』な性質がどのようにして現れるか、さらにはそれがどのようなものであるかを探るものの見方です。本講義では主として、後者の基礎である熱力学の考え方を習得することを目指します。
 講義では初めに熱力学、すなわちエネルギーおよび、熱と仕事の変換に関する基本的な法則を学びます。これにはエネルギー保存則(熱力学第一法則)と自発変化の方向を示す熱力学第二法則が重要な役割を演じ、自発変化の方向の指標を与えるエントロピーについて理解することが大切です。第一法則により熱や仕事の量は変化の道筋に依存するが、それらの和である内部エネルギーは変化の道筋に無関係な状態量であることが示されます。第二法則からは仕事は全て熱変換できるが、逆は不可能であることが示されます。ここまでは主として理想気体の圧縮と膨張のような単純な変化を題材として講義を行います。しかし、これらの法則は化学反応に関わる熱と仕事に関する考察を行うための基礎になります。
 その後、化学反応が自然に進む方向と化学平衡についての考察を容易にするため、第一法則と第二法則を組み合わせ、ギブズの自由エネルギーの導出を行い、その挙動を明らかにするとともに、化学反応に関する熱力学的理解を深めます。

授業計画

01. 物質量とモルの概念、理想気体の状態方程式、巨視的状態を記述する変数(物質量、温度、圧力、体積)
02. 熱力学で扱う巨視的系とBoltzmann分布、熱力学と統計力学の方法の違い
03. 熱と仕事の等価性、様々な変化、変化の経路、状態関数
04. 熱力学第一法則:内部エネルギーとエネルギー保存則
05. 化学反応とエンタルピー変化:反応エンタルピー、標準反応エンタルピー
06. 熱力学第二法則:エントロピーと自発変化の方向、可逆変化と非可逆変化
07. カルノーサイクルと熱効率
08. 02-07の演習
09. ギブズエネルギー:熱力学第一法則と熱力学第二法則の結合
10. ギブズエネルギーの温度依存性、圧力依存性
11. 化学量論係数と反応ギブズエネルギー、ケミカルポテンシャル
12. ギブズエネルギーと平衡定数の関係、van't Hoffの式
13. 化学反応と活性化エネルギー、Arrheniusの式
14. 全体のまとめと演習

授業運営

熱力学の概念、考え方にはなじみ難いところがあります。しかし、これは化学の理解には必須の道具です。授業では化学熱力学に関する演習を多用し、重要な式の考え方・使い方を学修します。自ら演習問題を解き、繰り返し考えることにより理解が深まるので自分で解いてみることは重要です。なお、時間外学習の課題とした演習問題についてはレポートを提出してもらうとともに、次回の講義で解説を行います。授業時間中に解いたレポートについても提出、発表してもらうことがあります。
 高校で習った数学、特に微分・積分は上記の作業に必須であるので、十分復習しておいてください。演習のために、授業時には関数電卓を持参して下さい。また、必要な資料を随時 dot campus に置くので、各自ダウンロードして各回の予習を行い重要なキーワードについて調べておいてください。復習としては授業時間中に提示された例題、自習問題、演習問題等を解き、関連事項も含め理解を深めることが重要です。
 時間外学習は各回4時間を想定している。復習としては授業時間中に解説した例題、自習問題、演習問題等を解き、関連事項も含め理解を深めることが重要です。

評価方法

期末試験と演習問題のレポート。

オフィスアワー

授業終了後、その場で。

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