授業科目

応用環境化学
Applied Environmental Chemistry

担当者

教授   西本 右子
後 火1
講師   及川 真司
後 火1
講師   小棹 理子
後 火1
講師   津越 敬寿
後 火1

単位

2

到達目標

 環境に関連する書籍、報道は多いが、正確な知識を積み重ねて初めて正しい理解ができる。本講義では受講生が広く環境に関する基礎知識を整理し、正しい理解と新しい問題に対する適応力を身につけることを目標とする。環境を学ぶ上で必要となる分析化学の基礎知識を身につけていることを前提に進める。
 理学部のカリキュラムポリシーに従い、分析化学系科目についても入門から応用展開科目まで体系的に身につけることができるようにカリキュラムが編成されており、本科目はその中で応用展開科目としての役割を持つ。

授業内容

人口の減少がはじまった現在の日本においては、人口の地域偏在による様々な環境影響が危惧される一方、多様な価値観やゆとりある生活環境をつくりだす新たな契機ともなると考えられている。一方で災害廃棄物の問題や世界規模でのCO2削減など早急に解決を迫られている環境問題も多い。本講義では化学的視点から環境問題を整理し、現状を理解した上で今後の新たな展開を考える。 

授業計画

以下の項目について連続して実施する。分析化学の基礎的な理解を前提に進める。1回目にシラバス記載事項について確認した上で文献や学習事項を指示するので、予め予習をしてから授業に臨むこと。各項目の授業終了時にはレポート課題が出されるので、授業内容を復習した上でレポート作成をすること。以下の予定で進めるが、2から7の項目については前後する場合がある。実施の詳細は1回目に示す。なお予習・復習合わせて各回あたり4時間程度の自己学習を想定しているが、各担当者の実施分をまとめて休日等に予習しておくことは有効である。
1.環境化学概論と関連知識の整理(西本)
2.水と空気から環境問題を考える(西本-2回)
身近な水と空気を取り上げ、それぞれの特性を踏まえた分析項目・分析法を概説する。
3.環境汚染の現状と環境関連法規・測定技術 (西本-2回)
環境汚染は原因や対象が複雑に絡み合って起こる。正しい理解には汚染の現状と測定法、環境基準についての基礎的な理解が前提となる。
ここでは環境関係用語と法令の解説及び大気・水質・土壌汚染の現状と環境基準・測定法について説明する。
3-1水質関連
3-2大気、土壌関連
4.エコマテリアルデータベースと材料技術の動向(小棹-2回)
4-1エコマテリアルはEnvironment Conscious Materialsの頭文字をとって日本で名づけられたものであるが、いまや「environment conscious」=「環境配慮」は特殊な要素ではなく、材料全般の要件となりつつある。本講義では、Web上に構築されたフリーアクセスのデータベース(Eco-MCPS)をもとに、事例を紹介し、現在日本における材料技術の動向ならびに「環境にやさしい」と評価するための観点を紹介する。
4-2環境問題は、科学技術のみで解決を図ることは難しく、一般消費者の係わり方が問われることになる。プラスチックスなどの「リサイクル」の問題を具体例として取り上げる一方、Eco-MCPSのマイニング解析により見えてくる環境問題への一般の関心度にも言及する。
5.製造プロセスにおける環境保全と新しい測定方法と精度管理(津越-2回)
5-1鉄鋼やセラミックス等の材料製造時の加熱プロセスでは、熱分解で発生するガス成分が排出され、これは適切に無害化処理して環境中に放出される。しかしながら無害化処理のエネルギーコストダウンや有害ガスを発生させないプロセス設計には、より高度な分析法が求められる。材料製造プロセスについて解説し、どのような分析が実際に用いられているかを紹介する。また、測定対象毎にどのような分析法があるかを、その測定原理の概略とともに解説する。
5-2 1回目に引き続き、材料製造プロセスにおいて、工場内で従来から適用される分析法やモニタリング手法について解説する。また、この目的のために開発された新規分析法の原理や応用例も併せて解説する。また分析値の精度管理についても解説する。世の中で用いられる分析値の信頼性向上のために取り組まれている精度管理に関して、そのためのISO規格の概要などを含め、環境分析測定で行われる技能試験を中心に紹介する。
6.環境放射能について(及川-3回)
私たちの生活環境には地球誕生時から数々の放射性核種が存在しており、生命と共存してきたことはあまり知られていない。東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)を契機に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故では、この事故に起因する人工放射性核種が環境に付加され、環境汚染はもとより様々な情報が錯綜することで予期しない風評被害を招くなど社会的問題にまで発展し、いまだ収束に至っていない。講義では、環境化学の一環として今後の環境放射能諸問題を理解するための放射能に関する基礎的な事項について解説や言及を行い、併せて日本の原子力を取り巻く情勢などについて講義する。
6-1環境放射能概論:放射能や放射線を理解するための基礎的な用語や単位等の解説を行うとともに、併せて環境中に存在する代表的な放射性核種についての紹介と自然科学との関わりや実用例について解説する。
6-2放射能分析の基礎:環境試料に含まれる放射性核種の分析測定に関して、ストロンチウム90、ヨウ素131、セシウム137などを例に、試料採取、放射化学分析、放射線計測についての概要、環境放射線・放射能モニタリングの現状及び品質保証について実例を交えて解説する。
6-3日本の原子力を取り巻く情勢:原子力規制関連法体系、電力需要を支える基盤となる原子燃料サイクルの平和利用に関連した使用済み核燃料の処理・処分の現状やクリアランス制度などについて、最新の環境放射能諸問題を交えて言及する。
7.新しい環境問題と今後の問題(西本-2回)
7-1室内環境や作業環境、悪臭・土壌汚染などの比較的新しい環境問題を取り上げ、汚染の現状と測定技術について解説する。
7-2環境JISや地域の取り組みについてもふれる。安全や環境に配慮した測定技術など最近の動向についても紹介する。 
8.まとめ
  全体のまとめとテスト:まとめの小テストを実施し、終了後解説する。

授業運営

授業計画に沿って4名がそれぞれ連続して講義する。
プリントを配布する。
1回目の授業で必要な関連知識と参考書を示すので、各回の関連事項を良く予習して授業に臨むこと。
連続した講義では1回目の授業をよく復習し、疑問点を整理して次の授業に臨むこと。
レポート作成に当たっては授業内容をよく復習し、参考文献などの調査を充分に行うこと。

評価方法

レポート、小テスト、最終テストを実施し、総合的に評価する。(レポート50%、毎回の小テスト25%、最終テスト25%)
レポート、テスト共に授業の内容を踏まえた上で自分の考えを述べることが重要である。レポートでは参考文献の調査も不可欠である。

オフィスアワー

質問等は授業開始前及び終了後に受け付ける他e-mailでも対応する。

参考書

『環境省編「環境白書」』
『環境分析化学』(三共出版)
富永・佐野『放射化学概論』[東京大学出版会]

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