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授業科目

物理学実験
Experiments in Physics 

担当者

教授   水野 智久
前 火3-火4-火5
助教   星野 靖
前 火3-火4-火5
講師   朝日 一
前 火3-火4-火5
講師   岩佐 泉
前 火3-火4-火5
講師   黒澤 景
前 火3-火4-火5
講師   小林 敏夫
前 火3-火4-火5

単位

3

到達目標

 「物理学実験II」は2年次で履修した「物理学実験Ⅰ」をベースに、さらに物理現象を深く追求し、実験を通して自然界に対するものの見方を深めることを目標とする。

授業内容

 1回のオリエンテーションと1回の発表会があり、6個の個別テーマが設けられている。1個の個別テーマに関して2週間かけて2回の実験を行うので、合わせて14回の実験を行う。履修者は班分けされてローテーションを組み、毎回異なる内容の実験を行う。実験データの取り方、結果のまとめ方及びその発表の仕方も重要視し、発表の機会を各人がもつようにする。

授業計画

 予習として、前もって実験テキストを読んでおくこと。復習として、レポート作成時に、実験内容をより深く理解することを勧める。なお、予習・復習を合わせて各回あたり約2時間の自己学習を想定している。

以下の6回の個別実験項目と1回の発表会を行う。1回の実験項目テーマを2週間(2回)で行う。各実験項目に関して学生を少数の班に分けてローテーションを組み実験を行う。一人の教員は一つの実験テーマを担当する。

実験項目
1.オリエンテーション
2.偏光と複屈折(1)
  光は電場ベクトルと磁場ベクトルが直交して時間的に振動しながら伝搬する電磁波である。電場ベクトルの先端の動きが進行方向に垂直な面内で直線的に振動して伝搬する光の状態を直線偏光といい、円状に変化して伝搬する光の状態を円偏光という。本実験では、半導体レーザ光の偏光状態を実験的に観測し、また、物質表面での光の反射における偏光状態の影響を測定し確認する。
3.偏光と複屈折(2)
  光学的に異方性を示す物質に光が入射すると、常光線、異常光線の2つ屈折光が現れる。これを複屈折という。このため方解石の結晶板を通して物を見ると2重に見える。本実験では、方解石を通した光には2つ屈折光が現れ、それらは互いに電場ベクトルの振動方向が直交した直線偏光であることを測定し確認する。
4.X線回折(1)(ラウエ斑点)
  コリメートされた連続波長のX線をSi単結晶に照射して、回折して出てくるX線の角度から、どの方向の結晶面から回折したか、また、回折したX線の波長を求める。
5.X線回折(2)(デバイシェラー環)
  Niフィルターを通して出てきた特性X線(単波長)をCuの多結晶に照射し、結晶格子の間隔である格子定数と呼ばれる量がどのくらいかを定量的に測定する。
6.さまざまな光源の分光スペクトル(1)
  本実験では様々な光源から放射される光の分光スペクトルを取得し、放射源の物理状態について理解・考察を行う。線スペクトル光源として蛍光灯、水素ランプ、連続スペクトルとして白熱電球、キセノン電球、太陽、恒星などを測定し、それぞれの分光スペクトルを求める。
7.さまざまな光源の分光スペクトル(2)
  得られた分光スペクトルから、離散的エネルギ準位間の遷移による発光を理解する。また、白熱電球等は黒体放射をしているとして温度を求める。近年エネルギ効率の観点から、照明を白熱電球から蛍光灯・LEDに変更する動きがあるが、その理由を理解する。
8.真空技術(1)
  真空技術は物理学実験の基礎技術の1つであり、また応用上も重要である。
真空を作る方法と真空を測定する方法について学び、ロータリーポンプやターボ分子ポンプなどの真空ポンプと真空計を使って真空装置内に真空状態を作ってみる。真空度の時間的な変化について簡単なモデルで考察する。
9.真空技術(2)
  更に高い真空度を実現する方法として、液体窒素トラップの利用とヒータによるベーキングを行う。大気の主成分は窒素と酸素であるが、真空を悪くする主な要因が水蒸気であることを理解する。また真空に対して大気圧がどれほど大きいかを体験的に調べる。
10.パルスの伝送実験(1)
  第1週目は電磁気学の基礎について学ぶ。電磁場の解析と理解に必要なマックスウェルの方程式について講義する。マックスウェルの方程式から自由空間を伝播する電磁波の様子を記述する波動方程式を導き、電磁波の伝播速度について学ぶ。
  その上で、同軸ケーブルという電磁波を伝えるケーブルの構造について学ぶ。同軸ケーブルは、電気信号を伝えるケーブルとして実用上重要である。同軸ケーブル内を伝播する電磁波の速度を高周波信号発生機とオシロスコープを使い測定し、自由空間を伝播する電磁波の速度(光の速度)と同軸ケーブル内を伝播する電磁波の速度の違いについて学ぶ。
11.パルスの伝送実験(2)
  マックスウェルの方程式から、同軸ケーブル内を減衰せずに伝播するTEM波と 呼ばれる正弦的に振動する電磁波の解を求める。次に、理想的には減衰しないTEM波が、実際には減衰する様子を、入力信号の周波数と同軸ケーブルの長さを変えて測定し、この減衰の原因について考察を行なう。
  そのためには、主たる減衰の要因と考えられる抵抗と漏れ電流を考慮して同軸を伝播する電磁波の解を求める必要がある。まず理想的な同軸ケーブルと同じ電気的な性質を持つ電気回路モデル(等価回路モデル)を考える。等価とは、入力した交流信号(電流あるいは電圧)に対する応答(電圧あるいは電流)が同じ事をいう。入力信号と応答の比をインピーダンスという。この等価回路モデルに減衰要因を組み込み、減衰する電磁波の解を求め、抵抗と漏れ電流のそれぞれが引き起こす減衰の入力信号周波数依存性を求める。実験によって求めた減衰の周波数依存性と比較することによって、減衰を起こす主たる要因を特定する。
12.放射線のエネルギースペクトル測定実験(1)
  α線、β線、γ線と呼ばれる放射線のエネルギースペクトル測定の実験を行う。物理学実験1のGM測定においてβ線、γ線のカウント実験を行ったが、物理学実験2においてはさらに詳細にこれら放射線のエネルギー測定を行う。また、各放射線の性質や測定器の原理を深く学び、放射線に対する理解を深める。第1週目はγ線について実験を行う。
13.放射線のエネルギースペクトル測定実験(2)
  第2週目においてはα線、β線の実験を通して、それらの性質と各放射線の測定器の原理を深く学び、放射線に対する理解を深める。
14.発表会

授業運営

 1つのテーマを2週間で行う。
 数理・物理学科の物理コースの学生は必修である。また、数理・物理学科以外に情報科学科、化学科、生物科学科,総合理学コースの学生にも開講されている。「物理学実験Ⅰ」を履修していることが望ましい。実験はいうまでもなく体験することに意味がある。従って、全項目に必ず出席して実験を行わなければならない。レポート提出方法及び細部の運営上の相談は、星野靖特別助教、青木孝教務技術職員が受付ける。

評価方法

成績は、レポート75%と発表25%による。
なお、実験を2回以上欠席した者は、評価の対象としない。

オフィスアワー

物理学実験準備室にて、授業終了後に行う。なお、メールでも対応する。

使用書

『物理学実験II(自作テキスト)』

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