授業科目

集積回路工学
Integrated Circuit Engineering

担当者

教授   島 健
後 月2

単位

2

到達目標

 本講義の到達目標は、受講生が、①微細素子をシリコン基板上に形成することにより作られる集積回路の発展を支える技術を学ぶことで、集積回路の将来の課題を考える力を身につける、②コンピュータのハードウエアを階層的に行うという考え方を理解し、MOSトランジスタレベルよりALU等の論理回路を設計することのできる力を身につけることにある。
 また、電気電子情報工学科のカリキュラムポリシーに従い、電子の専門分野の科目について基礎から学ぶことができるようカリキュラムを編成しており、本科目の履修にあたっては、回路や物性に関する科目である、電気回路I、電気回路II、電子回路I、電子回路II、基礎電子物性工学を学んでいることが望ましい。また、本講義により、電子の専門分野の研究室での卒業研究を行うための基礎を身につけることも目標としているので、この分野の卒業研究を希望している、あるいはこの分野の企業への就職を計画している学生は、できるだけ本科目を先に履修することが望ましい。

授業内容

 シリコンチップに集積化される集積回路について概説する。始めにプレーナーテクノロジーと呼ばれる集積回路の製造方法について講義する。つぎに、ムーア則と呼ばれている集積度に関する経験則とそれを裏付ける電気的性質について講義する。次にMOSトランジスタの動作を理解するため、バンド理論による方法と、カリフォルニア工科大学のミードらによる流体モデルによる方法を講義する。さらに、ハードウエアを階層的に設計するという方法について学ぶため、MOSトランジスタレベルによる論理回路の設計方法を講義し、順次ALU等のより複雑な論理ゲートの設計方法を講義する。論理ゲートの設計においてはIBM360以降の技術の発展にしたがって講義する。 

授業計画

 授業計画は時間の関係で前後するが、予習では、使用書、配布資料毎週の講義予定に記載されている初めて遭遇する専門的な技術用語について2時間をめどに調べておくこと。復習は、講義内容のノートを読み返し、式の導出等で不明な点が無いか、わからない事項はないか、わからない場合はどこがわからないかについて2時間をめどに順序だてて考察すること。

  1.シラバス記載の事項についての確認、集積回路の歴史について以下の内容で講義する。
    1947年のトランジスタの発明、1959年のプレーナートランジスタ技術の提案(ハーニ)、不純物拡散技術を用いたシリコン基板へ
    のトランジスタや抵抗を形成する技術(キルビー)、酸化膜上に配線を形成する技術等の発展の歴史を理解する。
  2.微細素子をシリコン基板上に形成する技術であるプレーナーテクロジーについて理解する。
  3.プレーナーテクノロジーにあらわれるマスクと呼ばれるMOS素子のレイアウト図形について理解する。特に2次元図形であるレイア
    ウト図を複数枚用いて立体的な層構造が作られることを理解する。
  4.MOS構造の電気的性質をバンド理論により説明する。
  5.最も簡単な断面構造を持つ素子であるMOS容量についてバンド理論と流体モデルにより説明する。
  6.MOSトランジスタの動作がバイアス条件により遮断領域、飽和領域、線形領域に分かれることを、流体モデルを用いて説明する。
  7.MOSトランジスタの解析解を、素子が1次元であるとして導出する。
  8.比例縮小とムーア則について説明する。特に、集積度の向上と素子の性能指標の関係を説明する。
  9.スイッチング代数とリレー回路の関係を学び、論理関数をリレー回路により構成することで、トランジスタレベルのCMOS複合
    ゲートを設計できることを説明する。
 10.大規模な回路を階層的設計により設計する考え方を説明し、階層的設計方法により論理回路を設計する。
 11.N進数、グレーコード、実数等の数の計算機の内部表現について説明する
 12.コストと規模を削減するため加算器と減算器を同一のハードウエアで実現する方法について解説する。
 13.加減算器の高速化技法のために考えられてきた手法を説明する
 14.チップ面積をなるべく小さくするレイアウト設計および誤動作が起きた場合の故障診断の考え方を学ぶ。

授業運営

 すべて講義形式による。講義は使用書並びに第一回目の講義で配布する関連資料をもとに実施する。講義は板書で行う。毎回の講義の途中で、理解度を確認するための演習を実施する。

評価方法

 期末テストにより評価する。期末試験の範囲は、配布資料および下記使用書。合格点は授業中に実施した演習の内容を正確に理解しているか、演習の内容の応用ができるかにより与えられる。出席状況は加味しない。尚、定期試験採点後に各設問ごとに多かった誤りについて「dotCampus」に掲載するので今後の学習に活用してください。

オフィスアワー

 火曜日4時限。23号館614号室(内線3802)。メールによる質問は随時受け付けるが、返信は「dotCampus」にて行う。
Email: shima@kanagawa-u.ac.jp

使用書

 國枝博昭『集積回路設計入門』[コロナ社]

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