授業科目

工業熱力学
Engineering Thermodynamics 

担当者

教授   原村 嘉彦
後 月1
准教授 伊東 弘行
後 金2

単位

2

到達目標

 本講義は、機械工学科のカリキュラム・ポリシーに従って、エネルギ変換を中心として解析力を養う科目として開講している。解析力を向上させるには、原理に従って、先ずは大づかみに、そして個々の式や値の導出をどのような流れで行うものなのかを理解することが重要です。
 本講義の到達目標は、受講生が、授業で出てくる熱量や仕事を表す式の一般的な形式がどれであるか,その他の式では所定の条件のもとでしか正しくないことを理解すること、そして理想気体の基本的な4種類の状態変化(4.2節から4.5節)において出入りする仕事・熱量、変化前後の未知の状態量を算出できるようにすることである。さらに、エネルギ保存則だけからはわからない損失がどのようなところで生じているかを理解することも重要である。

授業内容

 工業熱力学は、主に、エンジンがどのように熱を仕事に変換しているか、また、冷凍機(またはヒートポンプ)がどのように熱を汲み上げるかを理解するための学問です。熱力学では、考えようとする状態変化において出入りする熱量や仕事を調べます(授業計画の第4単元に対応)が、その際、課せられた条件によって、熱量や仕事はさまざまな式で与えられます。正しい答えを導くためには、どの式を採用するかを的確に判断しなければなりません。熱力学を学ぶ際に感じる難解さは、状態量が2変数関数、しかも状況によって独立変数が変わることのある2変数関数で表されることに起因しています。抽象的な表現になりますが、例えば、2変数関数f(x,y)でxx1からx2まで変化したとき、fの値がどれだけ変化するか、あるいはfxまたはyによる積分がいくらになるか,といった問題が提起されます。yの値が一定であるとか、xyが満たす条件が与えられているなど、もう1つの条件がない限り答が定まらないのですが、その条件は、提起される問題の中では、式ではなく現象的な条件として与えられます。現象的な条件を式で表される条件に直す能力が必要であるとともに、その条件を使って2変数関数を上手に操ることも必要になります。熱力学の問題(単に演習問題に限らない)に取り組むとき、課せられた条件を意識すると言うことが問題解決の前提となります。そしてこのような訓練をすることによって、単に熱力学を学ぶにとどまらず、現象を理解したり、その他一般的な課題に対応するための基礎力が身に付き、社会人になってから大いに役立ちます。
 課せられた条件に適合する式を利用できるようになるには,各式がどのような前提に基づいて、またどのような流れで導かれたかを理解しておくのが近道です。授業で出てくる式変形は、少なくとも前提と変形の流れだけは理解するように努力してください。
 本授業は、自動車用エンジンの動作原理とそのエネルギー的評価指標である熱効率を理解することをめざして、授業計画の欄に記載された内容を扱います。理想気体の性質と状態方程式の使い方を理解し(第3単元)、条件に応じて出入りする仕事や熱量を求めたり、逆に、仕事や熱量の出入りによる状態量の変化を求めること(第4単元)が、エンジンの動作原理を理解するための基礎となるので、特に第3、4単元に力点を入れます。

授業計画

 各回の講義内容は下記を予定していますが、若干前後する場合もあります。第1単元、第3単元、第4単元の終わりで、小テストを実施します。小テストを実施する際は、テスト後に解法を解説して理解の促進を図ります。
 初回に各回でどのような項目を学ぶのか、そのリストを配布します。予習として、前回の内容に目を通し、その回にどのような項目を学ぶのかを確認した上で受講してください。単元ごとに演習問題を配付しますので、復習として、学習直後にこれを解き、理解度を確認してください。期末試験の準備として、*印がついた問題(やや発展的な問題、積分の式を立ててそれを解かなければならない問題)を除く全ての問題を2回解けば、知識の定着が期待できます。
1.概説,物質の変化と熱(3回)
 1.0 シラバスの記載事項についての確認、1.1 概説、1.2 熱量の測定(以上第1回)1.3 仕事の計算・測定(第2回)、1.4 物質の三態とその間の変化(第3回)、1.5 小テスト(No.1)(第3回)
2.第1法則(熱と仕事の関係)(2回)
 2.1 仕事による温度変化の例、2.2 熱の仕事当量(以上第4回)、2.3 第1法則とその解釈(第5回)
3.理想気体の性質(2回)
 3.1 状態方程式、3.2 気体定数と比熱の関係と法則性(以上第6回)、3.3 混合気体の取り扱い、3.4 小テスト(No.2)(以上第7回)
4.理想気体の状態変化(2.5回)
 4.1 状態変化に対する考え方、4.2 定圧変化、4.3 定積変化(以上第8回)、4.4 断熱変化、4.5 等温変化、4.6 ポリトロープ変化(以上第9回)、4.7 小テスト(No.3)(第10回冒頭)
5.第2法則(熱から仕事への変換の限界とその関連事項)(2.5回)
 5.1 不可逆性とエントロピの導入(第10回)、5.2 熱の授受と不可逆性、5.3 可逆な熱の授受(以上第11回)、5.4 混合と不可逆性、5.5 第2法則の言葉での表現(第12回)
6.ガスサイクル(閉じた系によるエンジンの基本動作原理)(2回)
 6.1 実際の熱機関とその効率、6.2 カルノーサイクル、6.3 オットーサイクル(以上第13回)、6.4 ディーゼルサイクル、6.5 スターリングサイクル、6.5 まとめ(以上第14回)

授業運営

 講義中心に進めますが、その中で例題の説明をほぼ毎回加えます。それを参考にして、各自、次回までに配布された問題を解いて、理解度を確認してください。

評価方法

 小テストの結果を40%、期末試験の結果を60%として評価します。小テストの結果は、回復するチャンスを与えます。出席は評価の対象としません。欠席や遅刻をした場合、その単元について下記に示した参考書を理解できるように、各自で勉強しておいてください。期末試験では、電卓の持込を認めますが参照不可で行います。小テストも同様です。

オフィスアワー

原村は月曜4限、金曜5限、23-509室にて。伊東は、火曜日5限、金曜日4限、8-515室にて。

使用書

 特に指定しない。

参考書

 日本機械学会出版編集委員会『熱力学(機械学会テキストシリーズ)』[日本機械学会]2005

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