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 授業科目
 Course Title
哲学概論
- 必然性と自由をめぐって -
Survey of Philosophy 
 担当者
 Instructor
講師   山 守  後学期 木曜日2時限/木曜日3時限
 単 位
 Credit
2

関連するディプロマポリシー Related Diploma Policy
自立した良識ある市民としての判断力と実践力/Judgment and practical ability as an independent citizen of sound sense
 
到達目標
 運命的な必然性という観念は、古来私たちにつきまとってきた。私たちがどうあがいてみても、この必然性から逃れることはできない。「父を殺し、母をめとる」という予言の的中を恐れ、生まれてすぐ森中に捨てられたオイディプスが、結局予言どおりの運命をたどるというソフォクレスのギリシア悲劇はあまりにも有名である。

 こうした運命的必然性が、近現代、因果必然性あるいは法則必然性といったものに姿を変えて、私たちに襲いかかってきている。世界の出来事は、ことごとく以前に存した原因によって必然的に決定されている。あるいは宇宙全体は、くまなく物理法則によって秩序づけられており、何がどのように起こり推移していくのかは、法則によってあらかじめ決まっている。私たちが何を考え、どう振る舞おうと、所詮それは、こうした必然性に絡め取られてしまっているというわけである。つまり、私たちにおよそ自由はないということであるのだが、はたしてそうなのだろうか。まずは、古来、論じられ続けたこの包括的な問題を追及してみる。
 さらに、私たちが自由であるとするならば、それは、どういうことなのかという、簡単そうできわめて困難な問題に立ち入る。

 本講義の到達目標は、受講生が、①必然性と自由という哲学特有の問題を的確に把握し、世界の必然性とは、また、私たち人間の自由とは、本来どのようなものであるのかを根本的に捉え返す視座を確保することであり、また、②こうした哲学的な問題を、今を生きる自らの重要課題と捉え、これからの難しい社会を生き抜く思考力を身につけることである。
 また、教養教育のカリキュラムポリシーに従い、哲学的な思考力が身につくとともに、哲学というものがどういう学問であり、それがこれまで具体的にどのように論じられてきたのかを、歴史的に通観することによって哲学の全体像もまた把握可能となるように、カリキュラム編成がなされている。ついては、同時に、倫理学、宗教学、心理学等の関連科目を学ぶことが望ましい。

 
授業内容
 近代において必然性と自由の問題を明瞭に把握し、徹底して追究して見せたのは、 ヒュームおよびカントである。カントの主著の一つである大部な『純粋理性批判』は、全体がいうならばこの問題の展開なのである。まずは、こうした近代の論議に立ち入る。また、こうした論議を一層よく理解しうるために、大陸合理論およびイギリス経験論という、近世哲学の歴史をも概観する。
 その後、因果関係とはいかなる関係性であるのかを、ヘーゲルおよび現代英米の代表的な論議を取り上げて検討する。この検討の結果は、因果必然性なるものは、そもそも成立しないということである。つまり、私たちは自由であるということである。
 では、私たちが自由であるというは、どういうことなのか。最後にこの簡単そうで困難な問題を、現代英米の哲学に即して考察する。
 
授業計画
 授業は単に聴いて覚えるということではなく、受講生がその都度積極的に自ら考えるということを重視するものである。普段から、考えるという姿勢を身につけることが重要である。今学期は教室での講義はなく、すべてドット・キャンパス経由で行なわれるが、そこでなされるべきことは、まず、配布されるプリントを熟読すること(予習)。そのうえで、その内容について熟慮し、自らの考えをとりまとめ、毎回、質問等を含めたレポート(400字から800字程度)を作成し提出すること。さらにはきちんと自らの考えを捉え返し、我が物とすること(復習)である。
 その際、予習として求められることは、具体的には、①配布されたプリントを熟読し、②各回の講義内容のポイントをつかみ、③人名や専門用語については、できるだけ、参考図書などで調べ、内容をしっかり把握すること。④疑問点を整理することである。
 また、復習として求められることは、①配布プリントに即して、その内容をさらに熟考し、②各回のテーマに関し、自分自身の見解を確実に自分のものにすることである。
 なお、予習・復習あわせて各回あたり約4時間の自己学習を想定している。
 講義内容は各回ごとに次のように予定している。

1 ガイダンス シラバスの記載事項を確認するとともに、今期の話の全体を見通すとともに、「哲学」とは、どういう学問なのかを簡潔にお話しする。
2 因果関係とは何か。 因果関係という関係性は、私たちにとって非常に重要なものだが、その内実をあらかじめ確認する。【予習】配布プリントや参考図書に即して、因果関係の重要さをあらかじめ捉えておくこと。【復習】因果必然性というものをどう捉えるべきか、あらためて熟考すること。
3 デカルトの哲学 近代哲学の祖とされるデカルトの哲学を紹介する。【予習】配布プリントや参考図書に即して、デカルトの哲学を概観しておくこと。【復習】本有観念および方法的懐疑の意味を十分に把握すること。
4 ロックの哲学 イギリス経験論哲学の祖とされるロックの哲学を紹介する。【予習】配布プリントや参考図書に即して、ロックの哲学を概観しておくこと。【復習】経験論の基本的主張を十分に理解すること。
5 ヒュームの哲学 イギリス経験論哲学の完成者とされるヒュームの哲学を紹介する。【予習】配布プリントや参考図書に即して、ヒュームの哲学を概観しておくこと。【復習】ヒュームの徹底した経験論を十分に理解すること。
6 ヒュームの因果論 ヒュームの因果論が、近・現代哲学の因果に関する論議を確立した。その論議に立ち入る。【予習】配布プリントや参考図書に即して、ヒュームの因果論の概要を把握しておくこと。【復習】ヒュームの因果論の意味と影響について、十分に把握すること。
7 カントの哲学 西洋哲学史上最大の哲学者の一人とされるカントの哲学を概説する。【予習】配布プリントや参考図書に即して、カントの哲学を概観しておくこと。【復習】カントのコペルニクス的転回の意味と内容を十分に把握すること。
8 カントの説く二世界論 因果必然性と自由との両立を説くカント哲学は、特有の二世界論を説くに至った。この二世界論に立ち入る。【予習】配布プリントや参考図書に即して、カントの二世界論の意味をあらかじめ捉えておくこと。【復習】カントの二世界論の意味と問題点を、十分に検討し了解すること。
9 マッキーの因果論 因果関係とはそもそもどういう関係性なのかを、現代の哲学者、マッキーの論議に即して考察する。【予習】配布プリントや参考図書に即して、マッキーの因果論の概要をあらかじめ把握しておくこと。【復習】マッキーの因果論によれば、因果必然性は、どのように見なされることになるか、十分に検討し了解すること。
10 ヘーゲルの必然性論 必然性とは、そもそもどういう関係性なのかを、ヘーゲルの『論理学』に即して考察する。【予習】配布プリントや参考図書に即して、ヘーゲルの必然性論の概要をあらかじめつかんでおくこと。【復習】ヘーゲルの言う「絶対的必然性」の意味を十分に理解すること。
11 ネーゲルの自律論 現代の典型的な自由論の一つであるネーゲルの自律論を紹介する。【予習】配布プリントに即して、ネーゲルの自律論の概要をあらかじめ把握しておくこと。【復習】私たちが自由であるということと、私自身が存在するということとの密接な関連性について、十分に理解し了解すること。
12 サールの飛躍論 人間の自由をそのつどの飛躍と見るサールの自由論を紹介する。【予習】配布プリントに即して、サールの飛躍論の概要をあらかじめ把握しておくこと。【復習】サールの飛躍論を踏まえて、私たちの自由と私自身の存在との密接な関連性について、さらに理解を深めること。
13 14 毎回の授業内容に関して、受講生は毎回レポートを作成し提出するが、このレポートは、そのつどの授業内容を大きく超え出るものでもある。それゆえ、毎回のレポート作成の全体をもって、この二回の授業に代える。















 
授業運営
 授業はすべて配布プリントによって行なわれる。授業内容に関し、確認したい点・疑問の点などがある場合は、毎回提出するレポートに書き記してください。

【遠隔授業の種類】資料・課題提示型授業

【使用するツール】dotCampus



 
評価方法
 毎回提出されるレポート(400字から800字程度)による。評価のポイントは、①プリント内容が正確に把握されていること、②自らの考えが的確にまとまっていること、以上二点である。なお、五回以上レポート提出がない場合は、評価の対象外となる。

 
オフィスアワー
 特に設定されてはいない。質問等は、その都度のレポートに記載してください。
 

参考書
高山守『因果論の超克』1[東京大学出版会]2010
高山守『ヘーゲルを読む 自由に生きるために』1[左右社]2016
岩崎武雄『西洋哲学史』[有斐閣(教養全書)]1975

 
 
 
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