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 授業科目
 Course Title
行政法
Administrative Law 
 担当者
 Instructor
准教授 諸坂 佐利  前学期 水曜日1時限
 単 位
 Credit
2

関連するディプロマポリシー Related Diploma Policy
自立した良識ある市民としての判断力と実践力/Judgment and practical ability as an independent citizen of sound sense
時代の課題と社会の要請に応えた専門的知識と技能/Expert knowledge and skills to address the issues of the age and the demands of society
 
到達目標
 本講義の到達目標は、受講生が、①今日われわれの生活を取り巻く法体系には、公法と私法という二体系があり、国家権力と市民生活との関係について議論するところの前者が、いかなる歴史的沿革の中で生成・発展してきたかを知ること、②法と権力との関係性について知ること、③①および②を踏まえたうえで、国家と国民が現代的にはどういう位置関係、傾向を確認することができるかを知ること、④そしてそれはすなわち、地方分権時代における行政法の傾向も知ること、⑤また規制緩和という現代的状況における行政法の課題と展望についても知ること、であり、それらの問題状況の習得を通じて、公務員試験に有益な知識を身につけるほか、市民生活を営む上での基礎的な教養をも視野に入れて幅広く習得できることである。なお、この科目は、法学部のカリキュラム・ポリシーに従って構成されており、すなわち憲法、自治体法などともリンクする科目なので、どちらが先でも構わないが、そういった科目も是非とも受講してほしいと考える。
 
授業内容
 今日、行政による公共サービスなしには、現代社会の営みはあり得ないという意味で、それはますます私たちの生活との関係を深めている。環境、年金、福祉問題等が報じられない日はない。行政法を学ぶ意義は、国家試験、公務員試験等で必要な科目という意味以上に、日々の生活を営む上でも必要かつ有益な知識を提供する。本講義では具体的な事例を豊富に挙げ、解りやすい内容としたい。一般的に行政法は、行政作用法、行政救済法、行政組織法に区分されるが、本講義は、行政法に関する初学者むけに行政作用法および行政救済法を中心に講義することとする。
 
授業計画
 各回の講義内容は、一応次のように予定しているが、時間の関係で若干前後することが考えらますので、ご留意を。
 講義はテキスト通り進行するので、予習としては、最低でも2時間は確保して各回の該当箇所をあらかじめ目を通しておき、わからない専門用語などは下調べをしておくことが重要である。復習としては、テキストに書いていない講義で話した内容までノートにまとめ整理することが重要である(各回の指示は授業内で行う)。こちらも最低でも2時間は確保してほしい。
1.「行政」とは何か
 行政法学が対象とする「行政」は、古今東西、いかなる時代の「行政」ということではない。いかなる歴史的契機があってこの学問が成立したのか。この第1回目の講義は、これから行政法を学ぶ上で最も重要な部分といえよう。行政法学の理念・哲学に触れる回である。【予習】使用書第1章を読んで行政法学の対象たる行政の概念についてまとめておくこと。
2.公法と私法
 わが国の法体系は、公法体系と私法体系に二分されるが、それはそれぞれ異なった法原理の支配を受けるほか、裁判管轄の問題としても重要な論点である。基本的に英米法系と大陸法系で区別されるが、わが国では、戦前と戦後でも区別される。【予習】使用書第2章を読んで公法と私法の違いについてまとめておくこと。
3.法律による行政の原理―趣旨・目的、歴史的背景
 行政法学を学ぶ上で、最初に勉強するのが、この「法律による行政の原理」である。これは一般には法治主義ともいうが、法が何を治めるのか。この回をきちんと理解しないと次回からの理解も深まらない。非常に重要な回である。【予習】使用書第3章を読んで法律による行政の原理の理念についてまとめておくこと。
4.法律による行政の原理―内容、課題・例外
 法治主義にはその時代によってその概念の変遷が見られる。そして非常に古いこの概念は、ナチスヒトラーを生んでしまった。その反省が戦後の法治主義観へと修正されるわけであるが、本講義では、ドイツの問題にも触れながら、現代国家の法治主義観について学習する。行政法学の根幹にかかわる法治主義概念のもっとも中心的な回である。また法治主義原理には、特別権力関係と自由裁量処分の二つの例外がある。私たちが住む現実社会(法治国家)では、法治主義が必ずしも貫徹されない場面である。それはどういった理論的背景から成り立つのか、それを認める必要性、必然性はどこにあるのか。この回は、そういった法治主義の周辺について学習し、それを踏めないと法治主義への真の理解にはつながらない。【予習】使用書第3・4・5章を読んで法律による行政の原理の概要についてまとめておくこと。
5.行政行為論①―概論
 ここからの回は、行政行為論(実務上は、行政処分という)について学習する。この行政行為論はここから8回にわたって議論を展開するが、最初は、この概念そのものに言及する。【予習】使用書第6章を読んで行政行為とは何かについてまとめておくこと。
6.行政行為論②―種類(法律行為的行政行為)
 行政行為の種類として、まず法律行為的行政行為について学習する。伝統的な分類から今日に至るまでの変遷を踏まえながら、実例も多く取り入れながら具体的なイメージがわくように講義したい。【予習】使用書第7章を読んで法律行為的行政行為の概念についてまとめておくこと。
7.行政行為論③―種類(準法律行為的行政行為)
 行政行為の種類として、ふたつめの分類として準法律行為的行政行為について学習する。こちらも前回同様、伝統的な分類から今日に至るまでの変遷を踏まえながら、実例も多く取り入れながら具体的なイメージがわくように講義したい。 【予習】使用書第8章を読んで準法律行為的行政行為の概念についてまとめておくこと。
8.行政行為論④―特質
 この回は、行政行為(行政処分)がどういった特質を有するかについて考察する。具体的には、行政行為が成立する要件、効力、その効力が裁判といった場面ではどう展開されてくるのか、といった問題を判例の紹介も含めながら講義する。いわゆる行政法総論と呼ばれる学問領域の中心をなす非常に重要な回である。【予習】使用書第10章を読んで行政行為の特質についてまとめておくこと。 
9.無効な行政行為と取消し得るべき行政行為
 前回の議論の続きにあたるところである。行政校が無効か取り消すべきかどうかというのは、一言でいうとその行政行為が「違法」であるということである。違法であるということは裁判所で、損害賠償の問題や取消し、差し止めなどの問題に連動するわけで、この議論は、行政訴訟との関連性もうかがえるところで、第14回、そして後期の講義へのリンクともなりえる重要な講義となる。【予習】使用書第11章を読んで違法な行政行為についての考え方についてまとめておくこと。
10.行政行為の取消しと撤回
 前回の行政行為の「取消し」と似て非なる概念として「撤回」があるが、双方はどういった違いがあるのか。そのあたりを多角的に講義する。【予習】使用書第12章を読んで行政行為の取消と撤回の違いについてまとめておくこと。
11.行政活動の実効性確保手段(行政上の強制執行)
 行政行為=行政の権力作用の最終段階が今回と次回になる。私たち国民に対して、行政は権力を以ってして対応する場面がいくつかあるが、今回と次回は、行政が司法の手を借りて行わないものを中心として、その概念と性格を、事例を挙げながら具体的に講義する。【予習】使用書第13章を読んで行政上の強制執行についてまとめておくこと。
12.行政活動の実効性確保手段(行政罰)
 前回の強制執行とは、また似て非なるものとして「行政罰」があり、「罰」といった場合、刑法で学習する「刑事罰」があるが、これとは根本的な性格を異にする。どうちがうのか。そのあたりを詳解したいと思う。【予習】使用書第14章を読んで行政罰についてまとめておくこと。
13. 非権力行政概論―行政指導、行政契約、行政計画、行政立法
 これまで権力行政(行政処分・処罰)を中心に考察してきたが、この回は、非権力行政を概観する。この行政手法は、地歩公共団体のマネジメントを考察する上で重要な論点となる。【予習】使用書第15~18章を読んで非権力行政の概念、特色についてまとめておくこと。
14.行政救済法概要―事前救済手続と事後救済手続
 私たちの生活を取り巻く環境にはトラブルはつきものであるが、そういったトラブルに対しては、そもそもトラブルを発生させない方法と発生してしまったトラブルを十分に解決する方法と二つが考えられるが、前者を事前救済手続といい、具体的には、個人情報保護制度、情報公開制度、行政手続制度を中心として、その制度趣旨、理念、概要、特色などを講義する。後者は、事後救済手続というが、行政不服審査制度、行政事件訴訟制度、国家賠償制度、損失補償制度の、その制度趣旨、理念、概要、特色などを講義する。なおこの回は、後期の行政法Ⅱへのイメージをつかんでもらうことも想定しての内容ともしたい。【予習】使用書第19章に書かれている専門用語の定義、制度趣旨等を第20~29章を一読しつつ下調べしておくこと。
 なお、予習・復習合わせて各回約4時間の自己学習を想定するが、予習については、開講前の休暇中やGWなどを利用して複数回分をまとめて行うのも、早めに全体像がつかめて、かえって効果的かと考える。
 
授業運営
 行政法に限らず法律学を学ぶ上で最も重要なことは、具体的な問題に対して、適切に判断し解決する能力(リーガル・マインド)の体得である。講義に臨む際には単に話を聞きノートをとるのではなく、積極的に「考える」ことに専念してほしい。真の意味の「実力」をつけることを目指す。 受講希望者には、次の点を留意願いたい。まず予習については、テキスト・レジュメの該当箇所を一読し、わからない用語等を辞典等で調べておくこと。また復習については、ノート整理を怠らず、もし分からない点があった場合には、次週の講義までに自習しておくこと(自習しても理解できない場合には、必ず、教員に質問すること)。
 
評価方法
 定期試験の成績で評価する。出席の有無・回数は考慮しない。
 
オフィスアワー
 講義後の教室、出校日の研究室(24-212)で質問・相談を受ける。
 
使用書
諸坂佐利『全訂行政法講義ノート』


 
 
 
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