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 授業科目
 Course Title
哲学概論
- 哲学的存在論をめぐって -
Survey of Philosophy 
 担当者
 Instructor
講師   山 守  前学期 木曜日2時限/木曜日3時限
 単 位
 Credit
2

関連するディプロマポリシー Related Diploma Policy
自立した良識ある市民としての判断力と実践力/Judgment and practical ability as an independent citizen of sound sense
 
到達目標
 「哲学」とは、伝統的には「形而上学」とよばれてきた学問である。「形而上学」とは「形而下学」と相対するもので、「形而下学」とは、典型的には自然科学である。それは、「形」の「もと(下)」で営まれる。つまり、この世界の存在物を形ある物質と見なし、それを自然法則という一定の形のもと(下)で捉えようとする。これに対して、「形而上学」としての哲学は、存在そのものを、こうした「形」の「上」のもの、「形」を超越したものと見なそうとする。つまり、こう問うのである。本当に存在するものとは、物理学が捉えるような物質ではないのではないか。それは、一定の法則といった型にはまったものではなく、そうした観点からは捉えることのできない奥深いもの、あるいは自由に躍動する生命そのものとも言いうるものなのではないか、と。こうした問いのもとで展開されるのが哲学であり、また哲学的な存在論である。

 本講義の到達目標は、受講生が、①こうした哲学特有の存在論を的確に理解し、本当の意味で存在するものとは何なのかを見定める視点を確保することであり、また、②こうした哲学的な問題領域を、今を生きる自らの重要課題と捉え、これからの難しい社会を生き抜く思考力を身につけることである。
 また、教養教育のカリキュラムポリシーに従い、哲学というものがどういう学問であり、それがこれまで具体的にどのように論じられてきたのかを、歴史的に通観し、それによって哲学の全体像が把握可能となるように、カリキュラム編成がなされている。ついては、同時に、倫理学、宗教学、心理学等の関連科目を学ぶことが望ましい。

 
授業内容
 「哲学」(形而上学)という科目は、高等学校までの教科にはないために、具体的なイメージをもちにくい。したがって、まずは、18世紀から19世紀にかけての古典的な哲学に依拠して、「哲学」とはどのような営み(学知)であるのかを、「芸術」と関連させつつ、できるだけ分かりやすくお話しする。

 その後、哲学的存在論という観点から、まずは、現代における最大の哲学者の一人と目されるハイデガーの存在論(「基礎存在論」)を紹介する。続いて、その源流に位置づく古代ギリシアの哲学者、プラトンの存在論(イデア論)に論及するとともに、古代ギリシア哲学の流れを追う。
 
授業計画
 授業は単に聴いて覚えるということではなく、受講生がその都度積極的に自ら考えるということを重視するものである。普段から、考えるという姿勢を身につけることが重要である。今学期は教室での講義はないが、なされるべきことは、まず、配布されるプリントを熟読すること(予習)。そのうえで、その内容について熟慮し、自らの考えをとりまとめ、毎回、質問等を含めたレポートを作成し提出すること。さらにはきちんと自らの考えを捉え返し、我が物とすること(復習)である。その際、予習として求められることは、具体的には、①配布されたプリントを熟読し、②各回の講義内容のポイントをつかみ、③人名や専門用語については、できるだけ、参考図書などで調べ、内容をしっかり把握すること。④疑問点を整理することである。
 また、復習として求められることは、①配布プリントに即して、その内容をさらに熟考し、②各回のテーマに関し、自分自身の見解を確実に自分のものにすることである。
 なお、予習・復習あわせて各回あたり約4時間の自己学習を想定している。
 講義内容は各回ごとに次のように予定している。

1 ガイダンス 西洋哲学史年表を参照しつつ、シラバスの記載事項を確認する。その後、「哲学」とは何かについてお話しする。
2 シェリングの芸術論・哲学論 シェリングが芸術と哲学とを比較しつつ、哲学とは何かを論じている。この論議を紹介する。【予習】このシェリングの論議がいかなるものであるのかを、配布プリントに即して把握すること。【復習】シェリングの芸術至上主義の内容を十分に確認すること。
3 ヘーゲルの芸術論・哲学論 ヘーゲルが、シェリングと同様の論議を、シェリングとは異なる観点から論じている。「哲学」のイメージをさらに明瞭にするため、この論議に立ち入る。【予習】このヘーゲルの論議がいかなるものであるのかを、配布プリントに即して把握すること。【復習】シェリングとヘーゲルの芸術論の対比を十分に把握すること。
4 ハイデガーの基礎存在論(1) 典型的な哲学的存在論と見なしうるハイデガーの「基礎存在論」の概略を紹介する。【予習】ハイデガー哲学の企図と方法について配布プリントに即して把握すること。【復習】ハイデガーの基礎存在論の企図を十分に確認すること。
5 ハイデガーの基礎存在論(2) ハイデガーの存在論にさらに立ち入って解説する。【予習】ハイデガーの論じる「良心」とは何かを、配布プリントに即して捉えること。【復習】ハイデガー哲学の全体像を十分に把握すること。
6 黎明期の哲学 ハイデガーが20世紀に論じた哲学の基盤が、すでに紀元前6世紀、古代ギリシアにおいて、形成されていた。つまりそれが、西洋哲学の始まりである。この黎明期の哲学を紹介する。【予習】配布プリントや参考図書等によって、この時期の哲学の概要をつかむこと。【復習】哲学の始まりの意味を十分に捉えること。
7 パルメニデスとヘラクレイトスの対比 紀元前6世紀から5世紀にかけて、古代ギリシアにおいて、大きな思想的対立が生じた。それが、この両者の対立である。この興味深い対立について概説する。【予習】配布プリントや参考図書等によって、この両者の思想の概要を把握すること。【復習】両者の思想の異なりの意味を十分に捉えること。
8 ソクラテスの登場 思想的混乱のなか、未曾有の経済的繁栄にわく古代ギリシアの中心都市アテネに、紀元前5世紀、いよいよソクラテスが登場する。その哲学的意味をお話しする。【予習】配布プリントや参考図書等によって、ソクラテスの思想の概要をつかむこと。【復習】ソクラテスの登場がいかに大きな意味をもっていたかを十分に捉えること。
9 プラトンのイデア論 ソクラテスの精神を受け継いだプラトンが、本格的な哲学説を展開する。それが、イデア論である。この哲学史上最重要と見なしうる論議を紹介する。【予習】配布プリントや参考図書等によって、プラトンのイデア論の概要を捉えること。【復習】イデア論の重要さを十分に確認すること。
10 プラトンの説く「洞窟の比喩」 プラトンの説く有名な「洞窟の比喩」に即して、さらに詳しくイデア論に立ち入るとともに、プラトンとハイデガーの類似性を見る。【予習】これまでの授業内容を捉え返しつつ、この両者の類似性について、考えをまとめること。【復習】自己自身を知るということの意味を十分に把握すること。
11 アリストテレスの質料・形相論 プラトンの高弟アリストテレスが、師プラトンのイデア論に真っ向対立する哲学説を唱えた。この質料・形相論を紹介する。【予習】配布プリントや参考図書等によって、アリストテレス哲学の概要をつかむこと。【復習】プラトンの哲学と対比し、アリストテレス哲学の独自性を十分に把握すること。
12 小ソクラテス派とヘレニズム・ローマの哲学 ソクラテスの哲学は、プラトン、アリストテレス以外の多くの人たちにも引き継がれ、ヘレニズム・ローマ期の哲学として展開された。その流れをお話しする。【予習】配布プリントや参考図書等によって、小ソクラテス派、および、ヘレニズム・ローマの哲学の概要を捉えること。【復習】ギリシアの哲学と対比し、この哲学の特徴を十分につかむこと。
13 14 毎回の授業内容に関して、受講生は毎回レポートを作成し提出するが、このレポートは、そのつどの授業内容を大きく超え出るものでもある。それゆえ、毎回のレポート作成の全体をもって、この二回の授業に代える。














 
授業運営
 授業はすべて配布プリントによって行なわれる。授業内容に関し、確認したい点・疑問の点などがある場合は、毎回提出するレポートに書き記してください。

 
評価方法
 毎回提出されるレポート(400字から800字程度)による。評価のポイントは、①プリント内容が正確に把握されていること、②自らの考えが的確にまとまっていること、以上二点である。なお、五回以上レポート提出がない場合は、評価の対象外となる。

 
オフィスアワー
質問等は毎回提出するレポートに記載してください。
 

参考書
岩崎武雄『西洋哲学史』[有斐閣(教養全書)]1975

 
 
 
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