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 授業科目
 Course Title
国際政治学
International Politics 
 担当者
 Instructor
教授   大庭 三枝  前学期 月曜日4時限
 単 位
 Credit
2

関連するディプロマポリシー Related Diploma Policy
自立した良識ある市民としての判断力と実践力/Judgment and practical ability as an independent citizen of sound sense
国際的感性とコミュニケーション能力/International sensibilities and communication capabilities
時代の課題と社会の要請に応えた専門的知識と技能/Expert knowledge and skills to address the issues of the age and the demands of society
 
到達目標
法学部のカリキュラムポリシーに従い、現代国際社会の諸様相を複眼的に考察するために必要な歴史的背景、基本的理論枠組みについて理解を深め、ることを目的としている。

 
授業内容
【授業内容】
国際政治学は、国際社会、ないし地球社会で起こっている出来事やその実態を考察対象とする学問です。この講義は、国際社会を理解するうえでの重要な視点・枠組みを提供し、みなさん自身でそれぞれ国際社会と自分との関わりを深く考えることを目的としています。

国際社会、というと遠い世界の出来事のように感じられるかもしれません。しかしながら、グローバル化が進む中、国境を越えて各社会における動きが相互に影響を与える度合いが強まっている現在、だれであっても(たとえいやでも)国際社会の動きには無縁ではいられません。我々の生きる生活空間、またこれから切り開いていく人生の動向は、日本の国内だけでなく、世界の動向に大きく左右されます。たとえそんな面倒は避けたい、と思っていても。です。昨今の新型コロナウイルスの流行は世界的な現象であり、現実に我々の活動や活動空間を大きく左右しています。

他方、我々自身の活動が国境をこえて国際社会全体に影響を与えています。日本国政府としての外交は、国民を代表し、その支持に支えられた(とされる)政府によって展開され、世界や地域の動向を左右しています。どのような政府のどのような外交政策を国民としてサポートするか、によって外交のあり方は変わります。また、個々人としてたとえばapple社のアイフォーンを買う、という行為は、その製造を支えている国境を超えた生産流通ネットワークをより強化することに(個々人は無意識であっても)繋がります。また、日本には旅行者などの短期の滞在者だけでなく留学や就労を目的として多くの外国人が存在し、確実に日本国内自身が国際化し、多様な社会となる中で、我々がその中でどう振る舞うか、は、日本社会のみならず、国際社会全体の基調に大きな影響を与えるでしょう。またもっと能動的に、人権や環境などに関わる非政府組織(NGO)や市民団体などの活動に自ら参加することで国際社会のあり方に直接関わることも可能です。

冷戦の終焉に伴い、国家間戦争や大国間の核戦争の脅威は減ったと言われるものの、それらに代わり地域紛争や民族間対立、地域環境問題、核拡散など人間の生存に関わる問題が顕在化し、現在に至っています。また、世界中で急激に進む経済面でのグローバル化の波は、ますます地球を一体化する一方、それに伴う様々な摩擦や世界大の格差の増大を生み出し、国境を超えた犯罪、テロリズムの国際化、疾病の流行など多くの問題を生み出しています。前述のコロナ禍もグローバル化の負の側面の一つの事例です。これらに対して各国が個別で対応することを超え、国際社会において複数の国家、さらに国家や国際組織、NGO、市民団体、市民などが協働して対応する仕組みも形成されつつあります。

このように国際社会ないし地球社会の中で我々が現実に生きている以上、国際社会で起こる、たとえば戦争と平和、グローバル化、貧困と開発、人権規範と国家主権の相克などの様々な事象を自分とは縁遠い世界の出来事であると片付けることは、自分の視野のみならず人生の可能性も狭めてしまいます。受講者には、国際社会は自分の人生に大きな影響を与え得る自分を取り巻く「社会」の一部であるということを理解していただき、自分を取り巻く状況を広い視野を持って判断し行く道を決断する力を培ってもらいたいと考えています。

 
授業計画
今学期はオンライン授業で開講する。
予習:次週の講義内容に則した教科書の該当箇所を毎回指示するので、講義の前に必ず目を通す。疑問点、質問点についてはメモ書きしておくこと。予習時間約2時間。
復習:授業の際、毎回課題ないし小テストを課し、その提出を義務づける。毎回2時間程度。

第1回 授業ガイダンス  国際社会・地球社会を観る視点
  学問体系としての国際政治学・国際関係論の扱う範囲と成り立ちを論じた上で、本講義の基本的なスタンスと視点について提示する(教科書序章、および教科書第15章第4節後半)
<第1部:国際社会の歴史的展開と基礎概念>
 第2回 主権国家システム
  国際政治を理解する上で最も重要な概念である主権国家という概念の登場・展開およびその意味内容について取り扱う。具体的には、主権国家および主権国家で構成される主権国家システムの歴史的な形成過程について論じる。さらに、主権国家システムの特徴である分権性、非政府性、水平性、さらにはそれら主権国家間の関係の調整のメカニズムとしての勢力均衡についての理解を深める。(教科書第1章)
 第3回 近代国際システム
  ヨーロッパ諸国が非ヨーロッパ領域へ活動範囲を拡大させ、植民地帝国を築くことで登場した階層性を内包する近代国際システムの形成・拡大について学び、20世紀初頭の「世界の一体化」に至るまでの過程を論じる。(教科書第2章)
 第4回 国際規範の変化と主権国家システムの変容
  国際規範の変化による主権国家システムの変容について論じる。具体的には、(1)主権在民やナショナリズムの登場による18世紀末の国民国家の登場と19世紀を通じた国民国家という形態のスタンダード化、(2)戦争の違法化原則の確立、(3)第二次世界大戦後の国際経済の管理の仕組みの登場、(4)自決原則による脱植民地化によって生じた開発というアジェンダの登場を扱う。(教科書第3章)
<第2部:主権国家システムの現在>
 第5回 主権国家の関与拡大と相対化
  主権国家システムが現在直面している課題やグローバル化等による変化の趨勢について論じる。この回では、グローバル化や主権国家・国民国家の「退場」が盛んに論じられる中で、実際には主権国家が管理・関与する領域は増大していることを、事例を挙げて示す。(教科書第4章第1節)
 第6回 安全保障を巡る新たな課題
 第4回で論じたように戦争は違法化され、国家間戦争は減少した。しかし内戦・外国勢力の介入を伴う地域紛争は増大した。現在では、国際連合のもとで制度化された集団安全保障体制、その機能不全から生まれた平和維持活動(PKO)、さらに平和構築、人間の安全保障概念の登場といった、新たな脅威に対応する様々な取り組みがなされていることを示す。(教科書第4章第2節、第14章第1節、第2節)
 第7回 経済の相互依存とグローバル化
 経済的相互依存およびグローバル化という現象とそれが登場・加速したプロセスおよびメカニズムについて論じ、またそれらが主権国家システムおよび国際政治をどう変化させているかについて示す。また、グローバル化が国際社会にもたらしている格差拡大というゆがみや反グローバル化運動についても論じる。(教科書第4章第3節、第13章第1節、第14章第1節)
 第8回 単純な主権国家後退論には与するべきではないが、主権国家の国際社会・地球社会全体における絶対的優位性には陰りがみられる。この回では、NGOの登場や人権規範の浸透などにより、主権国家システムが相対化されている側面に焦点を当て、そうした現実を踏まえた新たな国際秩序論についても論じる。(教科書第4章第4節、第5節)
 
<第3部:地球社会の分離と統合>
 第9回 ナショナリズム
 グローバル化が進む現在において、むしろ国民という政治共同体およびナショナリズムが大きな課題となっている。国民とは何か、またナショナリズムとは何か、さらにナショナリズムの国際政治にもたらす影響について論じる。(教科書第5章)
 第10回 国民の利益追求:政府と外交
 国民が政府という「代表」が展開する「外交」を通じて国際社会に影響を与えるメカニズムについて論ずる。(教科書第6章)
 第11回 国民共同体の相対化
 「国民」は一度統合されても分離・分裂する可能性があり、また刻印国家を超える制度や共同体を志向する動きも見られるなど、「国民」や「国家」は相対化される存在である。国民統合と分裂、国際制度の展開、地域統合などに焦点を当てながら、国民共同体が相対化されるメカニズムと可能性について見ていく。(教科書第7章、第15章第2節)
 第12回 国民に括り切れない人々
 国民共同体から排除されている存在(国内における少数派、難民など)や国際社会における新たな主体の登場などに焦点を当て、それらが国際社会に与えている影響について論じる。(教科書第8章)

<理論・総括・今後の展望?
 第13回 国際政治学の理論の3つの系譜
 国際政治学・国際関係論では、ホッブス、ロック、ルソーという思想家の議論に着想を得、リアリズム、リベラリズム、アイデアリズムの三つの理論的系譜が存在する。それぞれの議論の内容や特徴について概観し、その効用とともに、現在変化しつつある地球社会を捉える上での限界についても明示する。(教科書第15章第4節後半)
 第14回 全体総括:国際社会の統治の可能性
 地球社会として取り組んでいかざるを得ない問題が多発・深刻化している中で、国際公共秩序が形成される必要性と可能性について論じる(教科書第15章第1節、第2節、第3節

 
授業運営
Zoomによるオンライン講義形式を基本とし、オンデマンドで配信される講義や解説などを組み合わせる。また、それに加え、毎回小テストないし課題を課す。その他授業運営の詳細については初回授業において改めて説明する。また、講義のやり方の詳細は途中で変更される可能性がある。オンラインの特性を生かした双方向のコミュニケーションも行い、受講者の学習の進捗状況等を確認するので、Zoomで開講されるオンライン講義への出席は必須である。授業時には履修者は全員パワーポイント及び資料等、教科書の該当箇所に目を通していることを前提とする。

授業時には教科書及びパワーポイント、その他適宜新聞記事や映像資料等を使用する。Zoomにおいては適宜「画面共有」機能を用いて提示する。また、場合によってはオンデマンドでそれらの映像や資料を配信し、それを全員閲覧したことを前提としてZoomでのオンライン講義を行うこともある。

パワーポイントや教材等は「dotCampus」の所定欄に、毎回使用するパワーポイント、および必要に応じてレジュメ、資料を原則として授業の前週末に掲載する。映像資料に関しては、dotCampusの容量を考慮し、別の場所をアクセスポイントとして指定する場合もあり得るので、その場合は適宜授業で提示する。

また、授業時間内に毎回質疑応答の時間を設ける。

 
評価方法
毎回の授業で提示される小テストや課題(80点)および最終レポート(20点)。小テストや課題、最終レポートは、授業で行った事柄に依拠しつつ、自ら国際社会の諸現象をどう考察するか、ということを問うものを含む。
 
オフィスアワー
原則として火曜(授業期間に限る) 13:30-15:10 24号館218号室。事前にメールでアポイントメントをとり、質問内容や要件を伝えておくこと。

しかし今回はオンライン授業を行うという特殊な状況にあるので、オフィス・アワーも上記の時間にオンラインで行う。その場合でも、事前にメールでアポイントメントをとり、質問内容や要件を伝えておくこと。

なお、dotCampusの中にある「フォーラム」機能などを利用した質疑応答等も受け付ける予定である。
 
使用書
山影進『国際関係論講義』第2版[東京大学出版会]2012年

参考書
ジョセフ・ナイ、デービッド・ウェルチ『国際紛争:理論と歴史』第10版[有斐閣]2017

 
 
 
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