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 授業科目
 Course Title
経済学史
History of Economic Thought 
 担当者
 Instructor
講師   小林 純  後学期 水曜日3時限
 単 位
 Credit
2

関連するディプロマポリシー Related Diploma Policy
自立した良識ある市民としての判断力と実践力/Judgment and practical ability as an independent citizen of sound sense
時代の課題と社会の要請に応えた専門的知識と技能/Expert knowledge and skills to address the issues of the age and the demands of society
 
到達目標
 政策を妥当性のある理屈で根拠づけること。国民として地球市民として課される難題の解決策を構想する力を養う。そのために理論・政策系諸科目の成立根拠すら相対化しうる知見を身につける。具体的には、現在の経済学の問題点を考える手がかりを得るさいに歴史的考察を通して複数の接近法を頭に浮かべられるようになること、である。
 
授業内容
前期Ⅰが表通りの理論史なら、Ⅱは路地を経済思想史的接近法で散策する、というもの。だから表通りの一定の知識は必要。現代経済学では異端とか脇道とされる思想・理論も、新たな光の下では主役になれる。主流派に捨てられた生活の諸契機の再生・賦活条件を考慮する経済論の数々を紹介し、それぞれを歴史的文脈にそくして内容理解を深める。手掛かりとして「経済学者」とされぬヴェーバーの著作を取り上げる。
 
授業計画
各単元の講義内容を以下に示す。後述の教科書・参考書を用いる予習箇所は*で示した。復習では講義中の不明部分を配付資料や参考室の利用で明確にしてもらう。復習用問題を配布するので(試験対策にも)利用されたし。

1.ガイダンス・シラバス確認/経済というコトバ:アリストテレスの家政術
 授業運営方法と講義の意図の説明につづき、「経済」の語源をアリストテレス『政治学』にさぐる。自然にかなう家政術と嫌われる貨殖術の対比から始める。*教科書333〜336頁、219〜223頁、①第1章14〜30頁。

2.市場の深化・拡大:労働と交易、統治
 市場経済の進展のなかで、豊かさ=富の獲得方法はどう考えられたか。私利追求はどう受け止められたか。経済学史上やっかいな「重商主義」の捉え方について。*①第1章30〜64頁、②3〜18頁。

3.行動的主体の登場:資本主義の形成
 ゾンバルト、ヴェーバー、シュンペーターの歴史観は「特異な人間の登場」が伝統を突破する形式を共通に持つ。『経済発展の理論』でイノヴェーション論を見たのち、「資本主義の精神」論に入る。*教科書97〜106頁、①第10章、②148〜159頁。

4.ヴェーバーの倫理命題:禁欲説
 エートスとしての「資本主義の精神」を説くヴェーバーの倫理命題を理解し、「倫理と経済」という視角を理解する。*教科書106〜109頁、219〜226頁、②136〜147頁。

5.市民社会の倫理:スミスの共感論
 前項「倫理と経済」の視角から市場社会に生きる人間の倫理を考える。市場論理の認識がマンデヴィル『蜂の寓話』やその批判者スミスで、どこまで深まっていたのか。これは『国富論』の理論と政策の前提となる重要ポイント。*教科書40〜41頁、①第10章、②第2章。

6.先進・後進問題
 先進国の自由貿易論に対抗した後進国の立場を代表するフリードリヒ・リストとドイツ歴史学派の主張を学ぶ。英国から見ると他の全世界が相対的後進国となること、リストの発展段階論と保護主義、そしてドイツ歴史学派の古典派経済学批判を知る。*教科書35〜45頁、①7〜8頁、65〜68頁。

7.ドイツ歴史学派
 社会問題と社会政策、古典派理論への批判意識、経済的自由主義の限界と新しい自由主義(英)の登場、の各項を学ぶ。ドイツの新歴史学派と社会政策学会の展開を知る。またこの学派を巧く取り込んだヴェブレンの経済把握にも触れる。*教科書39〜53頁、①第8章、②65〜68頁、190〜1頁。

8.農業労働者問題
 19世紀末ドイツ東部の農業労働者問題の具体的実態を見ながら、自由主義と保護思想、経済政策と民族問題などに関わるヴェーバーの活動を追う。話が細かくなるので予習は必須。*教科書55〜85頁、第6章。

9.理論と政策
 ヴェーバーの就任講演を手掛かりに、彼のドイツの階級分析や経済理論と政策的価値判断の基準の関係づけ、価値自由論を学ぶ。この項では扱う論点が多くなるので復習を充分に。*教科書86〜95頁、126頁、153〜156頁、351〜353頁。

10.社会主義
 マルクス主義およびその修正・批判を、理論史・思想史の双方から検討する。官僚制の捉え方にも触れる。*教科書112〜117頁、134〜136頁、161〜3頁、233〜247頁、①第6章、②第4章。

11.戦争と革命
 第一次世界大戦を帝国主義戦争と捉えるレーニンの経済認識と戦時経済論を見た後、市場と計画について考察する。*教科書250〜1頁、

12.市場経済と自由
 ロビンズの経済学の定義から、現代の自由経済を正当づける理論・思想を追いかける。ハイエクもここで扱う。ヴェーバーの行為論を下敷きにして考えたい。*教科書第13章、①276〜288頁、②103頁、275〜6頁、278頁。

13.多様な合理性
 ヴェーバー社会学の核心を「合理性」分析とみて、経済現象の理解にそれをどう活かすかを考察する。異端の経済思想(ポランニー、ノイラート)はここで登場する。*教科書315〜323頁。

14.経済と政治
 ピケティ『21世期の資本』の提言を理解し、講義全体の総括を行う。*教科書323〜328頁、331〜333頁、①512〜524頁。

教科書=使用書。
参考書①=ハイルブローナー『入門経済思想史世俗の思想家たち』、参考書②=井上義朗『コア・テキスト 経済学史』。

 
授業運営
 基本的に講義形式。ZOOM、Teams、Formsを利用する。オンタイムとオンデマンド型の組み合わせ方式で行う。
 授業は「予習・受講・復習」の繰り返しで進む。毎回、復習用に小テスト形式のミニ作業を課し、各自が理解進展度を自己確認する手助けとする。内容理解には一定量の知識を整理して頭に入れる必要があるので、授業進行にあわせて行う。予習用資料の配布はTeamsで、ミニ作業チェックはFormsで行う。前期未修者には、表通りを主内容とする前期教科書を参考書②に挙げておく。図書館利用が不便なので、まず教科書・参考書の3冊活用に励むべし。またTeams上ほかに私設「図書室・参考室」を開設するので利用して欲しい。
 なお単元数と授業回数が異なるため、初回授業で詳しい授業進行表を示す。

 
評価方法
Teamsを利用した課題レポート(30%)と期末試験(70%)で評価する。
 
オフィスアワー
 質問・相談は常時Teams上で可能。それ以外に個人的な質問等もTeams上にあるチャットが利用可能。

 
使用書
小林純『続ヴェーバー講義 政治経済篇』[唯学書房]2016年

参考書
ハイルブローナー『入門経済思想史世俗の思想家たち』[筑摩書房(ちくま学芸文庫)]2001年
井上義朗『コア・テキスト 経済学史』[新生社(ライブラリ経済学コア・テキスト&最先端)]2004年

 
 
 
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