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 授業科目
 Course Title
経済学史
History of Economic Thought 
 担当者
 Instructor
講師   小林 純  前学期 水曜日3時限
 単 位
 Credit
2

関連するディプロマポリシー Related Diploma Policy
自立した良識ある市民としての判断力と実践力/Judgment and practical ability as an independent citizen of sound sense
時代の課題と社会の要請に応えた専門的知識と技能/Expert knowledge and skills to address the issues of the age and the demands of society
 
到達目標
① 経済学が現在の姿をとるに至った過程を学ぶことにより、それを通して、② 現在の経済学について深く理解し、③ 経済理論の展開が現実の経済の展開との関連でなされてきたことを理解し、それゆえに理論には制約が伴うことも考えられるようになること、である。
 
授業内容
【授業内容】
 前期Ⅰは経済理論の展開史である。経済理論の精緻化を教科書に沿って追いかける。理論史を軸に、学の成立から最近の制度・組織の捉え方まで、通史的にたどる。古典派、新古典派、ケインズ経済学が主役格の、いわば「表通りの経済学史」となる。初学者向け教科書を用いるので、ミクロ・マクロの予習・復習にもなろう。


 
授業計画
 dotCampus利用で授業を始める。各回の講義内容を以下に示すが、若干前後する場合もある。予習として、教科書の指示された箇所を読み、併せてdotCampusの資料に目を通しておく。講義中に充分理解できなかった部分については配付資料やウェブサイトで検索して調べて確認しておくこと。この予習復習に毎週4時間程度を想定している。高校世界史、特に西洋近現代の知識は必要なので、自信のない方には後掲の参考書を早めに通読することをお薦めする。*=各回の教科書および参考書の該当箇所。
 なお今期は例外的に12回の授業とし、13回目を、いわゆる「試験」に代わる課題提出に充てるが、講義者・受講者双方の機材準備状況を見てその形式を決める予定。授業密度がやや高めとなるので、予習・復習は必須である。

01  重商主義:トマス・マン
 まずは教科書を入手する。「ガイダンス・シラバス確認」をきちんと行い、続いて、重商主義政策の実際と多様な思想の一側面を、トマス・マンに即して考察する。前期は表面的な「教科書的」知識にとどめ、深い思想史的考察は後期にまわす。*教科書プロローグおよび第1章1〜8頁、参考書第2章24〜64頁。
02  フィジオクラシー:ケネー
 フィジオクラシーという言葉の意味にこだわりながら、ケネーの思想と理論について学ぶ。この語が「重農主義」と訳されてはいけない理由とそう訳されてしまう理由、および「経済表」の論理を理解する。*教科書第1章8〜18頁、参考書第3章76〜78頁。
03  古典派の成立・経済成長:スミス
 スミス『国富論』の書名にこだわり、そこから彼の革命的な基本思想と理論的視角を学ぶ。続いて、同時代的課題への対応としての内容が「資本蓄積」論を根拠に展開されることを学び、「経済的自由主義」について考える。*教科書第2章22〜42頁、参考書第3章66〜117頁。
04  古典派の展開・資本蓄積:マルサスとリカーゥ
マルサス『人口論』と穀物法論争、リカードウの差額地代論・比較生産費説を学ぶ。経済的自由主義=自由貿易論となる理屈を憶える。理論的に覚えることが多いので予習は多くしてほしい。*教科書第3章44〜65頁、参考書第4章120〜169頁。
05  労働価値説の展開:マルクス
 リカードゥの投下労働価値説を継いだマルクスは、資本家的生産様式の語を用いて資本主義の語を避けた。資本とはなにか。資本蓄積の将来像を示す彼の理論が「失業は必然か」にどう答えたかを見る。*教科書56〜58頁、第4章70〜96頁、参考書第6章、とくに250〜260頁。
06  古典派から新古典派へ限界革命と一般均衡:メンガーとワルラス
 J・S・ミルを含めた古典派を総括し、それと対比される新古典派の概説を行うので、政策を含めた経済思想の局面を少し扱うことになる。理論的には「なぜダイヤモンドは水より高価なのか」を手掛かりに、限界革命と均衡理論、「限界効用」と「一般均衡」という考え方を学ぶ。ここでミクロ基礎論の理解を深めよう。*教科書第5章104〜116頁、参考書第7章276〜297頁。
07  エコノミクス:マーシャル
 マーシャルの「理論の発展」への高い貢献を知ろう。彼の提唱した短期・長期、消費者剰余概念などでミクロ経済学の基礎も復習できる。併せて時代背景を説明する。彼が時代的・政策的課題に理論で挑戦した姿勢を理解しよう。*教科書第5章116〜130頁、参考書第7章325〜344頁。
08  新古典派の合理性:完全競争市場モデルから不完全競争へ
 供給曲線はなぜ右上がりか、ワルラスとマーシャルでは説明が異なる。理論が前提する社会のイメージが違うのだ。第6・7回の復習の形で無差別曲線やボックス・ダイヤグラムなどミクロ理論の前提と「正統派」の根拠を徹底理解しよう。実際は完全競争市場など存在せず、寡占・独占状態が進む。ロビンソンたち理論家はそれをどう問題としたのか、を学ぶ。自分で需要・供給曲線をひくなどして不完全競争論・独占的競争論・屈折需要曲線を理解する。*教科書第7章164〜187頁、参考書第7章325〜344頁。
09  セイ法則批判:ケインズ革命
 不況の経済学「ケインズ理論」をセイ法則批判の観点で紹介する。「貯蓄=投資」が新古典派とケインズではどう違うか。最終目標は彼の雇用量決定の理屈の体系的理解と、この体系が「社会革命」の質を持つことの理解。*教科書第8章198〜238頁、参考書第9章404〜468頁。
10  IS-LM分析:ケインズ理論と一般均衡
 政策分析の手法として一般化したIS-LM分析を、自分で作図しながら理解する。これはケインズ理論と一般均衡の合体だ。併せてケインズ政策の政策手段や影響について学ぶ。*教科書第8章230~238頁、第9章242〜246頁、第9章243〜246頁、参考書第9章450~468頁。
11  マネタリズム:フリードマン
 マネタリズム・合理的期待仮説の理論的骨子を学ぶ。自由な競争市場を信頼する理論が現実の失業をどう理論的に説明するかで、形式論理の「堕落形態」の実例を見る。*教科書第9章262〜270頁、第10章296〜297頁。
12  制度:R・コース
 なぜ都市に企業が集中したのか。効率性追求が市場以外の資源配分機構を生んだという捉え方を知り、取引費用論を軸に「企業組織と制度」について学ぶ。制度の意味を知ったことで市場の理屈としての「経済理論」という前期講義の核心が相対化された。この観点から前期全体の復習・まとめを行う。*教科書第7章187〜195頁、参考書第8章346〜401頁。
13  試験
 
授業運営
 授業は「予習・受講・復習」で成り立つ。学習は「読む・書く・話す・聞く・読む…」の繰り返しが基本学習パタンだと考えるが、今期は例外となる。「予習」は、教科書と参考書の指定箇所通読。「講義部分」は、1.worksheetを10分程度で仕上げ、自己採点する。「解説」で間違い箇所をチェック。2.「本日の講義録」を精読。3.不明箇所をチェック。「復習」は、1.worksheetを再度やってみて「チョロいもんだ」と思えるほどに理解が深まったかを確認。2.不明箇所の理解をはかる。ウィキペディア以外に参考になるサイトはたくさんあるので、利用すべし。3.教科書を再読して不明箇所がまだ残っていたら「質問」すればいい。講義録や必要な資料は事前にdotCampusにアップする。なお、プリンタ不所持の受講者はかなり不利になるが、事前に死に物狂いでノートを作成するなどすれば、カバーは可能。
 重要:dotCampus利用で授業を始めるが、準備が整えばZOOM利用に移行するつもりでいる。そのためにも、当初から授業時間を「水曜午後(13時〜18時)」に設定してほしい。課題提出の締切時間は支持するので、厳守のこと。

 
評価方法
 複数回出される課題に対して提出されたレポートの採点による。
 
オフィスアワー
 電子メール(pt121129pp@kanagawa-u.ac.jp)で相談に応じる。
 
使用書
井上義朗『コア・テキスト 経済学史』[新生社(ライブラリ経済学コア・テキスト&最先端)]2004年

参考書
ハイルブローナー『入門経済思想史 世俗の思想家たち』[筑摩書房(ちくま学芸文庫)]2001年

 
 
 
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