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 授業科目
 Course Title
経済哲学
Economic Philosophy 
 担当者
 Instructor
講師   有江 大介  前学期 火曜日2時限
 単 位
 Credit
2

関連するディプロマポリシー Related Diploma Policy
自立した良識ある市民としての判断力と実践力/Judgment and practical ability as an independent citizen of sound sense
国際的感性とコミュニケーション能力/International sensibilities and communication capabilities
時代の課題と社会の要請に応えた専門的知識と技能/Expert knowledge and skills to address the issues of the age and the demands of society
 
到達目標
 この授業は,経済学部の3、4年生の皆さんに、経済学や法学、社会学など社会科学(social science)と呼ばれる学問領域がどのようなものなのかについて説明し、理解してもらうことを目標としています。前学期の「経済哲学Ⅰ」では、社会科学、特に経済学とはどういう学問かという点について、その方法論から見た特色をつかみ取ってもらいます。
 また、現代の経済学が数学的に洗練・精緻化された反面で、あまりにも理論が抽象的で現実から乖離しているという批判がなぜ起こるのかについても紹介し、皆さんの理解が深まるよう努めるつもりです。
 以上を通じて、学生の皆さんが社会に出たあとにどのような場所に居てどのような仕事をしていても、経済という視点から世の中の動きがよく見えるようになることを期待しています。
 
授業内容
 この授業では、昨年7月刊行の教科書『反・経済学入門:経済学は生き残れるか』(創風社)の第Ⅱ部「科学という枠組み」に沿って、「科学」(science)と「社会」(society)という言葉が何を意味しているのかを検討します。その際、①科学とは何か、②西欧における科学的思考の発生と展開、③18世紀の成立から現代に至るまでの経済学の方法の検討、④不評にあえぐ現代経済学の将来展望、という順で授業を行います。授業内容の特色は、自然科学(natural science)と比較しながら、やや抽象的・一般的に社会科学の学問としての特徴と方法を説明します。実在論や名目論、帰納論や演繹法、経験論や合理論、実証主義や反証主義といった専門用語の解説と、現代の社会科学の方法や哲学に必須の、「パラダイム」(paradigm)論を中心とした議論について言及します。その上で、社会科学の代表と見なされていながら評判の悪い経済学をとりあげ、その経済学がどこまで科学として信用できるのかについて検討します。
 また、経済「哲学」という科目の性格上、ともすると授業内容が観念的で抽象的になりがちになることを考え、できる限り日本と世界の実際の社会経済の動きを、アメリカやヨーロッパのテレビや新聞の報道や記事を、Youtubeや国際ニュースを録画したDVD映像などを使って紹介します。このことを通じて、現代社会のあり方と経済との関係についての理解と関心が深まることを期待しています。
 
授業計画
 この授業は、新型コロナ(COVID-19)流行の影響のため、Onlineによる「遠隔授業」により開始しますが(以下の「授業運営」の項を参照してください)、計画の内容は変わりません。
 この授業の予習・復習とも、教員からの指示に従うだけの受け身の姿勢ではなく、教科書やその都度配布するレジュメ、以下に掲げる参考書、授業に関連すると思う文献や関連するWEBサイトなどを皆さんが自発的に読んで考えることを奨めます。当然、「経済哲学」というものの抽象的内容をより良く理解するには、事前学習と事後学習が必要です。
 具体的には、まず予習としては、以下に示す各回のテーマに最も関連する教科書の章を読んでおくことが必須です。どの章のどの部分がが次回の授業内容に主に対応するかは、教員がその都度指示します。
  また、復習としては、授業で示された内容を考えながら、よくわからなかったところをまず教科書、次に参考書やネット情報まで広げて再度考えてください。特に、経済学の哲学や方法論という抽象的な議論が主要な内容になりますので、それぞれの回に出てきたキー概念の理解を深めるよう努力してください。
 なお、2単位授業の予習と復習の時間はあわせて4時間と定められています。以上を励行することは、結果的に、皆さんが社会に出たあとの自分の仕事に何らかの形で寄与するに違いありません。

 次に授業全体のスケジュールを示しますが、進み具合、皆さんの理解度や新型コロナ禍による可能な授業回数の急な変更に応じて、順番や早さが変わる可能性があります。

01.はじめに:講師の自己紹介/シラバス記載事項の確認/授業の主なねらい/授業手順/授業予定/成績のつけかた/注意事項
02.社会科学のための「科学」 ①「科学」とは、②「社会」とは
03.③経済学:社会「科学」か工学か人文学か
04.社会科学の方法 ①「自然哲学・道徳哲学」から「自然の科学・人間の科学」
05.②秩序/類比/法則
06.③実験と観察/帰納と演繹/本質と現象/実態と形式/構造と関係
07.④古典力学/熱力学/生物学
08.⑤要素化/数量化/法則の形式化
09.⑥統計学/解析学/線形代数/「カタストロフィ・ファジー・カオス」/複雑系
10.社会科学の哲学 ①論理実証主義/モデル=プラトン主義/道具主義
11.②パラダイム論と「知のアナーキズム」
12.経済学は科学といえるか ①「欲求の体系」/功利主義/実証主義
13.②方法論的個人主義と経済的自由主義/設計主義的合理主義と経済「工学」
14.おわりに:現代経済学はどうなっているのか/実験経済学・ゲーム理論・メカニズムデザイン

 なお、雑誌『経済セミナー』2018年10・11月号に掲載されている、担当教員(有江)が参加した「鼎談:経済学への疑問、批判、そして期待」はこの「経済哲学」という授業の内容と背景理解に大いに資するので、図書館で参照されることを勧めます。













 
授業運営
 授業は教室での「対面授業」が可能にならない限りOnlineでの「遠隔授業」で行います。その場合、指定した教科書(生協によるネット販売で入手してください)を皆さんが持っていることを前提に授業を進めます。ただし、受講する皆さんの理解を助けるために、その回の内容をまとめたPowerPointやWordの資料をZoomなどにある「画面共有」で紹介します。あわせて、現実世界の動きを知るために日本や世界の報道の資料や、可能ならば動画も「共有」を通じて解説することを考えています。
 必要な場合には、dotCampusを通じて受講者の皆さんに「共有」で使用する資料の配布をします。

 「対面授業」が可能になれば、大教室ないし中教室での講義形式で進めます。また、多くの場合、教科書の内容に入る前に、主に世界の社会経済の最新動向を各国のニュースやYoutubeやDVDの動画によって前方のスクリーンで紹介し、それについて教員がコメントします。
 その次に、毎回の配付資料と教科書の該当部分に即して各回のテーマについて詳しく説明して行きます。
 授業中、教員の方から適宜授業を聞いている皆さんに呼びかけますので,聞きたいことがあればその都度手を挙げて質問してください。授業時間後にも質問を受け付けます。なお,授業中は、私語を慎む、飲み物を飲まない、携帯電話やスマートフォンのスイッチを切る、帽子を取るなどの市民社会の大人の常識の範囲で対応してください。
 なお、非常勤講師ですので学内に研究室はありません。質問には授業終了後の教室か非常勤講師控え室のある3号館まで歩く間に応答します。




 
評価方法
 学期末までに教室使用が可能にならない場合には、指定した教科書と授業内容にもとづくWordの標準スタイルA4の2ページの「レポート」を皆さんに書いてもらい(レポートの課題はその時に指示します)、そのでき具合によって成績評価をします。長さは最低2ページで、一般に長くなるほど評価は高くなります。

 対面授業が可能となった場合には、以下の方法で成績を評価します。 
 基本は教科書の持ち込みを可とする期末の筆記試験により評価(90%)。授業中や授業後の質問などで授業への貢献がある場合には筆記による素点に10%以下の加算をします。筆記試験は、「経済哲学」にかかわる①必須の人名や著作についての客観テスト、②基軸的概念の簡単な説明、③経済哲学上の主要な論争点についてその内容説明を求める記述問題で構成されます。ただし、試験問題は必ずしも教科書や参考書の範囲に限らず、4年制の大学卒業生が当然知っているべき関連分野の知識に及ぶことがあります。
 期末試験前の最後の授業で、「期末試験問題候補例」を配布しその概要と意図を説明しますので、履修し試験を受ける学生の皆さんはそれをもとに事前の試験準備ができます。
 持ち込み可は教科書のみで、教科書本体にメモや書き込みがあってもかまいません。ただし、別紙に書いたメモや授業での配布資料は不可です。
 なお出席状況は評価の対象としません。
 
オフィスアワー
 「対面授業」の場合は、非常勤講師で学内にoffice(研究室)がないので、上の「授業運営」に記載したやり方で授業終了後に質問を受け付けます。
 「遠隔授業」の場合は、授業中に適宜(てきぎ)質問はないかと呼びかけますので、何かあれば皆さんの方から呼びかけてください。
 
使用書
有江大介『反・経済学入門:経済学は生き残れるか』第1刷[創風社]2019年
この教科書と毎回の配付資料で授業を行います。試験の際は参照(持ち込み)は教科書のみです。
参考書
鼎談者の一人として参加『経済セミナー』[日本評論社(経済学を問い直す:経済学方法論への招待)]2018年10・11月号
瀧沢弘和『現代経済学:ゲーム理論・行動経済学・制度論』[中央公論社(中公新書)]2018年
A.F.チャルマーズ『改訂新版・科学論の展開』[恒星社厚生閣]2013年
必要に応じて参考書の項目を指示します。
 
 
 
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