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 授業科目
 Course Title
アジア経済論
Asian Economy 
 担当者
 Instructor
講師   内橋 賢悟  前学期 木曜日4時限/木曜日5時限
 単 位
 Credit
2

関連するディプロマポリシー Related Diploma Policy
自立した良識ある市民としての判断力と実践力/Judgment and practical ability as an independent citizen of sound sense
国際的感性とコミュニケーション能力/International sensibilities and communication capabilities
時代の課題と社会の要請に応えた専門的知識と技能/Expert knowledge and skills to address the issues of the age and the demands of society
 
到達目標
 受講生は講義を通じて、①米国の影響下にある各国政府が乗り越えるべき今日の課題、すなわち急速に広がる経済のグローバル化、市場中心主義への対応策に関する主体的な政策選択の手法が認識できるようになる。とりわけ、本講義では世界市場を席巻する韓国財閥の経営統治機構が米国型市場主義「移植」の挫折にあることに重視している。そのため韓国経済の原動力をなすに至る背景を、主に実証的な分析を通じて理解できるようになる。
②上記の具体的な事例として、第二次大戦後まもない韓国において、米国の軍事的・政治的世界戦略の一環として導入された「制度移植」の試みが挙げられる。米国は自国型市場モデルとその理念を韓国に移し植えるべく、韓国政府に現行諸制度の「改革」を強く迫っていた。しかし、一国の諸制度をモデル化して他国の経済社会に定着させようとするこの試みは容易に所期の目的を達成することができず、複雑な経緯を経て最終的には「挫折」するに至り、1960年代以降の特恵財閥主導の経済発展(いわゆる「漢江の奇跡」)をもたらす要因となった。以上の経緯を、韓国のみならずアジア全般に関する経済史的展開を通じて理解できるようになる。
③すなわち今日、米国の影響下にある各国政府が乗り越えるべき今日の課題、それは急速に広がる経済のグローバル化、市場中心主義への対応策としていかに主体的な政策選択を行使し得るかという一言に集約されるが、その「負の先駆例」が、第二次大戦後まもない韓国において示されていた。米国型市場主義「移植」の試みとその挫折・失敗が、韓国政府をして自国の経済過程への大小の介入を常態化させ、韓国国内のマクロ的動態を意図せざる結果へと導くに至ったのである。
今日、世界市場を席巻する韓国財閥の経営統治機構が米国型市場主義「移植」の挫折にあることに重視し、韓国はじめアジア各国の経済的原動力をなすに至る背景を、主にマクロ経済成長に関するモデル分析を通じて理解できるようになる。
 
授業内容
 1960年代以降、韓国経済は「所有と経営の未分離」を特質とする特恵財閥主導の経済発展(いわゆる「漢江の奇跡」)をもたらした。この手法は、米国が自国型経済システムの対韓「制度移植」を行ったものの挫折を余儀なくされ、生み出された現象であるとの見方が可能になる。やがて米国型市場主義「移植」の試みとその挫折・失敗が、韓国政府をして自国の経済過程への大小の介入を常態化させ、韓国国内のマクロ的動態を意図せざる結果へと導くに至る。このように、1960年代以降の韓国では「制度移植」挫折に基づいて韓国型経済成長モデルが機能したものの、それが「所有と経営の未分離」を特質とする閉鎖性を生み出した。
 以上を前提に今日、世界市場を席巻する韓国財閥の経営統治機構が米国型市場主義「移植」の挫折にあることに重視し、韓国経済の原動力をなすに至る背景を、主に経済政策史的側面を通じて、明らかにしていきたい。

 さらに米ソ冷戦構造崩壊後、進展したいわゆるグローバル化は、米国に発した市場主義、その理論的背景としてのアングロサクソン型資本主義の「汎世界化」に同義である。90年代日本においても唱導された世界標準化(グローバル・スタンダード)とはかつての米同盟国復興事業と同様に、米国型諸制度の世界各国への「制度移植」の展開である点に着目する。すなわちグローバル化とは単なる国際化ではなく、世界市場化(同一制度による)に同じである。こうした「制度移植」の進展は、規制緩和政策のもと多くの国々を米国型市場主義依存の構造へと改革し、サブプライムローン問題、リーマンショック、或いはギリシャはじめ欧州債務危機などに代表される様々な困難を生み出し、世界を恐慌寸前の経済危機へと導きつつある。
 このような実態を、とくにアジア経済の動向に焦点を当てて解明していきたい。

時間外学習(予習・復習)は必ず行うこと。
予習は予めシラバスの内容をよく読んだ上で、講義内容に関する諸事項を網羅した専門書を読んでおくことが望ましい。
また経済新聞、もしくは経済雑誌、可能ならば経済報道番組などに触れながら、経済学にとどまらず経済全般に関する知識を備えておくことも、希望する。
復習は試験対策(持ち込み不可)に有用なので、必ず行うこと。
可能ならば、講義ノートに限らずサブノートを作成し、講義内容の要点を整理しておくことが望ましい。

1単位修得に必要な学修時間は45時間である。
当講義は2単位授業なので4時間程度の予習と復習が必要になる。
 
授業計画
各回の講義内容は以下を予定しているが、講義の進行により変更する場合もある。

第1回 講義の紹介
    アジア経済論Ⅰを学ぶにあたって、とくに世界経済の構造変化と東アジアの経済発展に関する説明を行ったうえで、受講に当たっ    ての準備、および授業評価に関して説明を行う。
第2回 アジアの工業化・近代化に関する方法論的アプローチ
第3回 第二次世界大戦後の資本蓄積過程
第4回 基幹工業の発展に伴う輸出志向型工業化政策の展開
第5回 アジア諸国における圧縮型経済発展の成長モデル
第6回 アジア型経済発展のレギュラシオン理論
第7回 アジア経済の制度論的ミクロ・マクロ・ループ
第8回 アジアの国際貿易にみる制度補完性
第9回 韓国型企業ガバナンス統治の特異性
第10回 韓国型金融システムの変遷
第11回 韓国型雇用システムの特異性
第12回 韓国の自由貿易主義
第13回 韓国経済にみる所得分配と社会的再生産
第14回 グローバル化がもたらした韓国経済の光と影
 
授業運営
 講義は板書による手法が主流を占めることになるが、他に討論もしくは議論のために必要な時間を設定する予定である。講義終了後、講義内容に関する質問を受け付けます。質問回答は成績の加点要素になるが、質問内容が優れている学生の場合はその限りではない。
 
評価方法
1.期末試験の点数により成績を評価する。試験時の持ち込みは不可なので、注意を要すること。
2.欠席回数が4回を超えた場合は不可になるので、注意を要すること。

 
オフィスアワー
 講義終了後、講師控室で質問を受け付けます。
 
使用書
使用書を用いる必要はありません。
参考書
内橋賢悟『50‐60年代の韓国金融改革と財閥形成―「制度移植」の思わざる結果』[株式会社 新評論]2008年

 
 
 
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