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 授業科目
 Course Title
労働法
Labor Law 
 担当者
 Instructor
准教授 朴 孝淑  前学期 火曜日4時限
 単 位
 Credit
2

関連するディプロマポリシー Related Diploma Policy
自立した良識ある市民としての判断力と実践力/Judgment and practical ability as an independent citizen of sound sense
時代の課題と社会の要請に応えた専門的知識と技能/Expert knowledge and skills to address the issues of the age and the demands of society
 
到達目標
本講義は,受講生が、労働者個人と使用者との関係に関する法(「個別的労働関係法」)を中心に,雇用社会で働く上で必要となる労働法の基礎的な知識を習得し,労働問題の法的な背景の理解を得ること,日本の雇用社会への法政策的な視点を得ることを到達目標とする。また法学部のカリキュラム・ポリシーに従い、労働法の入門から応用まで、労働法の基礎知識や専門知識を獲得しつつ、論理的に思考する能力を育むことができるようにカリキュラムを編成しており、現代労働法に対する判断力や深い洞察力を身につけることができる。
本講義は、労働法を全体として理解するために,後期集団的労働関係に関する労働法Ⅱとあわせて受講することが望ましい。なお,本科目は,労働法の基礎を身に着ける役割を持つので,法学部ゼミナールⅢを履修しようと計画している者は,本科目を先に履修することが望ましい。
 
授業内容
本科目は,労働法の全体像の把握を目的とするものである。本科目では,受講生が,労働市場をめぐる法規律,個々の労働者と使用者との個別的な労働関係をめぐる法規律について学ぶことで,日本の雇用社会の現在と将来について考える機会を得ることができる。具体的には,労働基準法,労働契約法の諸規定および判例法理を通じて労働を規律するルールの基本的枠組みを理解し,現代における複雑な労働問題について,法の原理原則から自分なりの解決策を考える力を鍛える。 
 
授業計画
※以下は予定であり、履修者の理解や進行状況により柔軟に変更する可能性がある。
※【予習】教科書のページは、最新版が出る場合、ページが異なる可能性があります。ご注意ください。

01.イントロダクション:労働法の全体像(労働法の形成と展開)

授業ではシラバスの記載事項(リアクション・ペーパー作成の仕方など)について確認する。そのうえで,労働法とはどういう学問か,現代労働の課題状況の概要,労働法の学習の仕方等について学ぶ。
【予習】教科書の第1編第1章(9頁~53頁)を読み,労働法の歴史および労働法の機能について整理しておくこと。(予習時間は約4時間)

02.労働関係の当事者(労働者,使用者)と基本的権利義務

そもそも労働者とは誰か。例えば,舞台に出ているオペラ歌手は労働者か。業務委託契約で製品のメンテナンスを行うカスタマーエンジニアに労働組合法の適用はあるのか? また,労働法上,さまざまな義務や責任(例えば,賃金支払い義務や労働組合と誠実に交渉を行う義務など)を負う主体である使用者とはだれなのか。
授業では労働法の当事者である労働者と使用者の概念について検討し,どのような基準で労働者か否か,使用者か否かを判断するかについて解説を行う。また,そもそも労働者とは誰か,使用者とは誰か,という問いが意味を持つ理由について学ぶ。
【予習】教科書の第2編第2章(63頁~79頁)を読み,労働法上の基本的な当事者となる労働者,労働組合,使用者の3つの概念を整理しておくこと。(予習時間は約4時間)

03.労働法の法源:労働契約,労働法規,判例法理,就業規則,労働協約,労使慣行,労使協定 

会社(使用者)は,従業員(労働者)になぜ働くことを命令できるのか。反対に,なぜ,労働者は使用者に対し賃金を支払えと請求できるのか?また,労働法のルールはどこに定まっているか。
使用者と労働者との間の権利・義務を根拠づけるものとしては,法律と契約以外に,労働協約と就業規則とが存在する。労働法の法源でもある労働協約とは何か,就業規則とは,労働契約とは,いかなるものか。授業では,これらの点について学ぶ。
【予習】教科書の第2編第3章(81頁~97頁,110頁~125頁)を読み,労働法上の法源の骨格を順にみていくことによって,労働法の法的枠組みを整理しておくこと。(予習時間は約4時間)


04.雇用関係の成立:採用・採用内定・試用

使用者は「美人」「イケメン」だけを採用してはダメなのであろうか?
日本では,使用者に幅広い採用の自由,つまりどのような人をどのような基準で雇うかを決める自由が認められている。なぜ,日本では採用の自由が広く認められているのか。使用者には採用の自由がどこまで認められているのだろうか。
一方,就業活動に取り組み,就職を希望した先から内々定・内定を受け,入社する。このうちどの時点で労働契約は成立するのだろうか(=いつ社員になるのか?)。内々定や内定の取消しは法的に制限されているのだろうか。授業では採用・採用内定・試用をめぐる法規制について学ぶ。
【予習】教科書の第3編第1章(129頁~142頁)を読み,雇用関係の成立に関する法を整理しておくこと。(予習時間は約4時間)



05.労働関係の展開(1):人事- 昇進・昇格・降格

日本企業(特に大企業)の比較的多くが採用している人事制度には「職能資格制度」がある。授業では,職能資格制度を前提として,昇進・昇格・降格の意味を確認する。さらに,労働者の地位や資格が上下するときの法律問題,特に,降格において,使用者にその権限が認められる要件,そして,権利行使が濫用とされる要件等について学ぶ。
【予習】教科書の第3編第1章(142頁~147頁)を読み,雇用関係の展開(タテ方向の人事)に関する法を整理しておくこと。(予習時間は約4時間~5時間)


06.労働関係の展開(2):人事-配転・出向・転籍・休職

社員は,会社の配転(転勤)命令に,どこまで従わなければならないのか。
授業では,長期の契約関係を前提に使用者が労働者に対して有する人事権について,それがどのような制約を受け得るのかについて学ぶ。
【予習】教科書の第3編第1章(147頁~164頁)を読み,雇用関係の展開(ヨコ方向の人事)に関する法を整理しておくこと。(予習時間は約4時間~5時間)


07.懲戒

多くの職場には,労働者が労務を提供するにあたり遵守しなければならないさまざまなルールが定められており,これに違反した労働者については,使用者による不利益処分(懲戒,懲戒処分)が行われることがある。授業では,そもそも,労働者が職場で遵守すべきルールとはどのようなものなのか,そして,使用者による労働者の懲戒が,何を根拠として,どのような範囲で可能かという問題について学ぶ。
【予習】教科書の第3編第1章(164頁~175頁)を読み,雇用関係の展開(職場規律と懲戒)に関する法を整理しておくこと。(予習時間は約4時間)


08.労働契約の終了(1):解雇・整理解雇

会社は,どのようにすれば社員を解雇することができるか。欧米諸国とは異なり,日本では,判例上,解雇権濫用法理という解雇規制が生み出され,その中で,解雇に対してかなり厳しい規制が加えられている。授業では,解雇権濫用法理はどのようにして生まれたのか,解雇権濫用法理の内容,整理解雇法理について学ぶ。
【予習】教科書の第3編第1章(176頁~192頁)を読み,雇用関係の終了(労働契約の解約)に関する法を整理しておくこと。(予習時間は約4時間)



09.労働契約の終了(2):退職・定年

労働契約の終了事由には,「解雇」(第8回)と「解雇以外の終了事由」がある。「解雇以外の終了事由」には,期間の定めのある労働契約の期間満了,定年年齢への到達,当事者の消滅,企業組織の変動(事業譲渡等)があげられる。授業ではこれらの「解雇以外の終了事由」について学ぶ。
特に,高年齢者の活用は,労働力人口の減少の中で会社にとって重要な人事戦略になっている。授業では,高年齢者への政策の一つである「高年齢者雇用確保措置」について学び,高年齢者への雇用政策はどうあるべきかについて一緒に考えたい。
【予習】教科書の第3編第1章(192頁~202頁)を読み,雇用関係の終了(辞職・合意解約,定年制)に関する法を整理しておくこと。(予習時間は約4時間)


10.賃金(1):賃金の体系,賃金請求権

労働基準法には,賃金に関係する規定が色々ある。また,最低賃金法や賃金支払確保法といった特別な法律もある。賃金をめぐる法的問題のポイントは,(1)賃金はどのような根拠によって発生するのか,(2)有効に発生した賃金に対してどのような法規制がかけられているのかの2点である。授業では,まず(1)賃金はどのような根拠によって発生するのかについて学ぶ。
【予習】教科書の第3編第2章(239頁~252頁)を読み,賃金請求権に関する法を整理しておくこと。(予習時間は約4時間)


11.賃金(2):賃金への労働基準法の規制等

授業では,前回の授業に引き続き,賃金をめぐる法的問題のなかで,(2)有効に発生した賃金に対してどのような法規制がかけられているのかについて確認する。最低賃金法や労働基準法などの法律は,契約上有効に発生している賃金について,その額や支払方法などの面で,いくつかの規制を定め,労働者の地位や生活の安定を図っている。授業ではこれらの規定内容について学ぶ。
【予習】教科書の第3編第2章(252頁~262頁)を読み,賃金の法規制について整理しておくこと。(予習時間は約4時間)


12.労働時間(1):労働時間法制の意義と現状,労働時間制度の基本的枠組み

どうして,日本の労働者は過労死するまで働いてしまうのか。どういう時間が労働基準法の規制対象となる労働時間なのか。授業では,労働時間の概念,労働時間規制の原則等,労働時間制度の基本的な枠組みを検討し,日本の労働法は,労働時間について,どのような法規制を置いているのかを学ぶ。
【予習】教科書の第3編第2章(262頁~277頁)を読み,労働時間制度の基本的枠組みついて整理しておくこと。(予習時間は約4時間)


13.労働時間(2):労働時間制度の特則-労働時間の柔軟化

授業では前回に引き続き,労働時間制度について学ぶ。労働基準法では,労働時間制度の基本的枠組みに対し,これを柔軟化するための特別の制度が労働基準法上設けられている。一つは,変形労働時間制など法定労働時間を柔軟化する制度であり,もう一つは裁量労働制など労働時間の算定の仕方に関する特別の制度である。
【予習】教科書の第3編第2章(277頁~292頁)を読み,労働時間制度の特則について整理しておくこと。(予習時間は約4時間)


14.労働条件の変更(労働条件の不利益変更)

現行法上,労働契約締結時に存在する就業規則は,締結される契約の内容を規律し,当事者を拘束する。他方で,すでに存在し,労働契約の内容を規律していた就業規則が変更された場合にも,変更された就業規則が労働契約の内容を規律するのかが問題となり得る。授業では,この問題についてのリーディングケースといえる最高裁判決(秋北バス事件判決)を中心に,労働契約法7条~10条の制定過程,その内容について学ぶ。
【予習】教科書の第2編第3章(97頁~110頁)を読み,労働契約の内容の変更と就業規則変更の拘束力について整理しておくこと。(予習時間は約4時間)

 
授業運営
・当該分野における基本原理や法的規律の概要を講義形式で説明する。
・指定の教科書(参考文献)及び判例を予め読んで来ることが求められる。          
・授業では,授業内容についての振り返りを促すため,リアクション・ペーパーの導入または小テストを行うことにより,各回の授業内容の理解を確認する。ただし、受講人数が50人を超える場合は、リアクション・ペーパーまたは小テストは行わない。

【予習・復習】
・「テキスト」および「スライド資料」・「参考資料(判例および新聞記事等)」等を活用して,予習と復習を行ってください。
-予習:テキストの該当部分,参考資料ないし担当教員の指示した部分を予習したうえで授業にのぞむこと。
-復習:指定の教科書の該当部分,スライド資料,参考資料等を活用して,リアクション・ペーパーを作成してください。
 【注意】
 ※受講人数が50人を超える場合は、リアクション・ペーパーの作成および提出は行わない。この場合、他の復習方法を提示する。
 ※リアクション・ペーパーの内容は,授業終了10分前に教員から指示します。リアクション・ペーパーは添削指導を行います。
 ※復習は、状況によっては小テストを行う場合があります。

・「スライド資料」及び「参考資料」は授業日3日前までに「Dot Campus」でダウンロード可能。

 
評価方法
(1)期末試験90%、出席率10%とする。
(ただし、受講人数が50人未満の場合は、リアクション・ペーパー(14回を予定)による評価を行う。この場合の評価方法は、期末試験60%、リアクション・ペーパー30%、出席率10%とする。)
(2)試験は,持ち込み「不可」とする。

 
オフィスアワー
・授業後、または、月曜日15:30~16:30、火曜日13:40~14:40
・教員の研究室(24-309号)までお越しください。

 
使用書
水町勇一郎『労働法』[有斐閣]2018年
『ポケット六法』令和2年版[有斐閣]2020年
※「授業は教員が作成したPPT資料に基づいて行います」※テキストを購入する場合は最新版をご購入ください。※六法は、『デイリー六法令和2年版』(三省堂)など)でも構いません。
参考書
荒木尚志『労働法』第3版[有斐閣]2016
菅野和夫『労働法』第11版補正版[弘文堂]2017
『詳解労働法』[東京大学出版会]2019年
参考書を購入する必要はありませんが、購入する場合には、最新版をご購入ください。 
 
 
 
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