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 授業科目 法学部基礎演習
Basic Seminar  on Legal and Political Science Studies
 担当者
教授   小森田 秋夫  前学期 火曜日5時限
 単 位 2

到達目標
 社会科学(法学)の古典的文献1冊をじっくり読むことをつうじて、次のことを目標とする。

 (1)専門的な書物を読み通すことのおもしろさと重要さを感得する(取り上げる書物は、もともとは市民向けの講座の内容を基礎として書かれたものである)。

 (2)疑問点について自ら調べながら、書物の論旨を的確に読み取る力を身につける。

 (3)日本における「近代法」の歩みについて理解するとともに、それをめぐる自分なりの〈問い〉(「なぜだろう」という疑問)を見つける。
 
授業内容
 川島武宜『日本人の法意識』(岩波新書、1967年)を読む。

 この書物は、日本においては明治期に民法をはじめとする「近代的」法典が制定され、多くの分野でその骨格が今日まで維持されているが、「前近代的」な法意識が社会生活の中に根強く残存しているため、「社会行動の次元における」法と「書かれた法」とのあいだに深刻で重大なズレが生じていることを、民法と民事訴訟に即して詳細に論じたものである。
 法について考えるさいに、法律の形で「書かれた法」だけではなく、法をめぐる人々の実際の行動を方向づける「法意識」に着目することの重要性を指摘した川島の見解は、日本人の法意識についての代表的な理解として国際的にも大きな影響を与えた。と同時に、国内外の専門家のあいだで、その妥当性をめぐる論争も引き起こした。
 1960年代後半という高度経済成長期の真っただ中において川島が描き出した日本人の法意識は、それから50年近くたった今日、もはや過去のものとなったと言えるのかどうかは、深く考えてみるべき重要な問題である。

 この書物を読むことは民法や民事訴訟法をはじめとする実定法諸科目を学ぶ上で役に立つだけではなく、法社会学という学問分野の重要性について理解を深め、さらには、日本近現代法史・比較法・法哲学というその他の基礎法科目への関心を拡げる助けにもなる。
 
 なお、小森田担当の法学政治学専門ゼミナールⅠは募集しない。
 
授業計画
第1回 川島武宜『日本人の法意識』という書物の意義について解説する。

第2回以降は、おおむね以下のように進めるが、実施状況を見て変更することがありうる。

第2回 第一章 問題
第3回 第二章 権利および法律についての意識 二 「法律」についての意識
第4回 第二章 権利および法律についての意識 三 憲法と権利意識
第5回 第三章 所有権についての意識 一 問題 二 近代法の「私所有権」の特質
第6回 第三章 所有権についての意識 三 わが国における所有権の法意識
第7回 第四章 契約についての法意識 一 問題 二 わが国における契約の法意識
第8回 第四章 契約についての法意識 二 わが国における契約の法意識(つづき)
第9回 第四章 民事訴訟の法意識 一 裁判
第10回 第五章 民事訴訟の法意識 一 裁判(つづき)
第11回 第五章 民事訴訟の法意識 二 調停
第12回 第五章 民事訴訟の法意識 二 調停(つづき)
第13回 第二章 権利および法律についての意識 一 「権利」の意識
第14回 第六章 むすび
第15回 川島説をめぐる国際的論争について解説する。
 
授業運営
 第2回から第14回までは、すべての受講者が、①あらかじめ該当箇所を通読し、②疑問点についてできるかぎり自分で調べ、③指定された字数の要旨を参加者に配布することを前提に、教員と学生、学生間のやりとりをつうじてテキストの内容を適切に理解することを主眼として進める。
 
評価方法
 平常点75点、レポート25点という割合で評価する。
 平常点は、「授業運営」に記したような形で進められる授業への積極的な参加状況について判断し、評価する。
 レポートは、川島『日本人の法意識』を読んで考えたことについて、最後に執筆する。
 
オフィスアワー
火曜日の12時10分~12時50分。
そのほかの時間でも、在室していれば差し支えない限り対応する。
研究室は17号館518号室。
 
使用書
川島武宜『日本人の法意識』[岩波書店(岩波新書)]1967年


 
 
 
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