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 授業科目
 Course Title
地方自治論
Local Government 
 担当者
 Instructor
教授   浅野 史郎  前学期 水曜日3時限
 単 位
 Credit
2

到達目標
 本講座においては、①地方自治に関する基本的な仕組み、②地方自治体の実際の運営、③自治体と住民との関わり、④地方議会の役割、⑤地方自治体と国との関係について学び、地方自治とは何かを深く、正しく理解することを第一の到達目標とする。
 地方自治についての知識を習得することだけが目標ではない。授業の履修を通じて、自分が住んでいる地方自治体の実際の運営に関心を持ち、そこから出発して、国政のありようにまで関心を広げることを第二の目標とする。「地方自治は民主主義の学校」の実践である。
 
授業内容
 講師は1993年から2005年まで、3期12年にわたり宮城県知事を務めた。また、1970年から1993年までの23年間は、厚生省(現厚生労働省)の官僚としての行政経験がある。その経験に基づき、授業においては、地方自治の現場での問題点と今後の展望について、実証的に考察する。
 特に、国と地方との関係として、地方分権、道州制、市町村合併,自治体の財政危機、地方議会の改革といった今日的課題について、詳しく論じる。
 地方自治体とは、歴史、文化、言語、自然環境を共有する住民の集まりである。住民あっての自治体という観点から、住民が自治体行政にどう関わっていくのかについて、考察を深める。
 「地方自治は民主主義の学校」と言われるが、これはどういった意味なのか。どうやって、民主主義は機能するのかについて、幅広く論じる。その際のキーワードとして、情報公開制度、選挙、行政評価、行政改革、住民参加、NPO活動などについて、実際のありようを詳細に考察する。
 なお、授業内容が、地方公務員試験に直接役に立つようなものかどうかは、意識していない。地方自治への興味を喚起するような授業内容ではあるので、間接的には、公務員試験の役に立つはずである。
 
授業計画
 授業計画は以下のとおりである。講義の進捗状況により、一部、変更はありうる。
 ほぼ毎回、次回の授業内容に関係する簡単な課題(宿題)を課す。課題は、次回授業の際に提出する。その課題をこなすことが、授業の予習となる。

第1回 授業紹介ー地方自治とは何か
 地方自治についての、基本的な知識を学ぶ。地方自治の歴史、都道府県、市町村と国との関係。地方議会と首長(県知事や市長)との関係。地方自治体の財政、組織。住民との関係など、ごく基礎的な事実について説明する。
 既に知識として了解している学生にとっては、知識の確認の機会であり、初めての学生にとっては、これから学ぶ地方自治についての、最低限必要な知識を習得する機会である。 現在の地方自治が抱える、問題点について、大雑把な内容を目次的に列挙する。事前に、この授業で扱う内容を俯瞰する機会である。

第2回 自治体の仕事
 
 地方自治体の役割は何か。住民に関わる仕事のどの部分を担うのか。実際の仕事の仕方を理解するために、自治体の組織について学ぶ。自治体職員の実態ー採用、仕事ぶり、人事異動、人事評価、給与、退職後などーについても、解説する。

第3回 自治体の財政
 
 地方自治体の財政の仕組み。予算のできかた。財政についての国との関係。 
財政危機の実態について、具体的事例を参照しながら解説する。 

第4回 知事とは何か
 知事は、選挙で選ばれる、多忙である、県民から県庁に送り込まれた存在である、危機管理の責任者である。知事のリーダーシップとは何か。知事と議会との関係。知事と国との関係。これらのことを知事経験者である講師が、「一人称で語る地方自治」として、詳細に語る。 


第5回 知事とは何か(続き)
 前回に続き、知事の役割と実際の働き方について、詳細に語る。

第6回 住民と地方自治体の関わり

 「地方自治は民主主義の学校」の意味はどこにあるか。住民が地方自治体の運営にどのように関わっていくか。その際に、住民が持っている「道具」にはどんなものがあり、それをどのように使いこんでいくのかについて論じる。

第7回 地方議会の役割と実態

 地方自治における「二元代表制」のもと、地方議会の期待される役割は何か。実際に、期待される役割を果たしているか。議員定数、議員給与をどう考えるか。重要な役割を果たすべき存在である地方議会が、住民の関心外に置かれているのはなぜかについて、次回の「議員登場」の予習的な意味も含めて、みんなで考えてみる。

第8回 地方議会議員登場
 地方議会議員数名に登場いただき、議会の活動の実態と議員の役割について、話していただく。学生側からの活発な質疑を期待する。

第9回 市町村合併
 平成の大合併はどのように進められたのか。国や県の関わりはどうであったのか。合併をする理由しない理由、合併して良かったのか悪かったのか。地方議会や住民はどのように関わったのか。今後、さらなる合併は進むのかどうか。市町村合併に関わるさまざまな論点を考察する。

第10回 道州制・大都市特例
 道州制とは、どれほどいいものか。道州制が何を目指すのかを論じるとともに、道州制実現までの必然的プロセスにおいて、地方自治の本旨に関わる問題が生じることについて考察する。

第11回 地方自治体の危機管理

 東日本大震災での実態に見られるように、地方自治体は災害に対して、現場での対応にあたらなければならない。災害が発生してからの対応だけでなく、事前の対策としての危機管理対策は、自治体の重要な役割である。さらに、自治体の不祥事に対する危機管理の問題がある。裏金づくり、官製談合など、組織ぐるみの不祥事にどう対応するか。それによって、住民の信頼を勝ち得るかどうかが決まる。このことについて、実際の例に触れながら考察する。

第12回 地方自治体職員登場
 地方自治体の職員の身分、処遇、仕事ぶりはどうであるか。現職の地方自治体職員においでいただく。自治体職員であることのやりがいと悩み、ホンネのところで語ってもらい、地方分権時代の自治体職員のあり方と問題点を探る。

第13回 地方分権の行方
 地方自治の最大の課題は、地方分権の推進(地域主権の確立)である。地方分権の中身は何か。何が問題なのか。どういう方向に進んでいるのか。特に、地方分権がもたらす、住民にとっての意味づけについて考察する。

第14回 地方分権の行方(続き)

 前回に引き続き、地方分権についての考察を深める。

第15回 住民参加と情報公開
 今後の地方自治を考える際に、中心課題となるのは、住民参加である。住民参加の前提としての情報公開も、地方自治体が国に先行して進めてきた分野である。住民参加を考えるときに、情報公開の問題は避けて通れない。地方自治体における情報公開の実践を跡づけながら、あるべき情報公開の姿を探る。
 
授業運営
授業は、13時00分00秒に開始する。 
 授業は、パワーポイントの使用もまじえながら、講義形式で行う。質問は、講義時間確保のために、授業中ではなく、コメントシートに記述する形で受け付ける。回答は、次回授業のレジュメに、質問内容とともに掲載する。
 その日の授業内容の項目を記載したレジュメを配布する。レジュメには、前回の質問への回答、前回提出されたコメントシートに関するコメントも記載される。
 授業中の電子機器の使用は禁ずる。携帯電話の電源は、授業終了後に入れること。授業中の私語、飲食は、禁止する。
 
評価方法
 成績評価は、定期試験の点数のみで行う。試験は学期末に1回実施する。試験は、持ち込み不可で、記述式である。
 評価のポイントは、記述の正確性、記述内容の十分性が基本である。論理的でわかりやすい表現方法は、それが著しく欠けているときのみ、減点対象とする。重要な事項の誤字が多い場合も、減点対象である。
 出席状況は評価の対象としない。試験問題は、授業を真剣に聴講していれば、容易に回答できるものばかりなので、出席点を評価しなくとも、出席状況は試験の成績におのずから反映されるからである。逆に、出席はしていても、熱心に聴講していなければ、試験での好成績は期待できない。このことも、出席状況を評価対象にしない理由である。
 
オフィスアワー
 水曜日の14時45分以降、19号館218研究室にて対応する。
 
使用書
柴田直子/松井望『地方自治論入門』[ミネルヴァ書房]12年12月

参考書
松本英昭『地方自治法の概要—第4次改訂版』[学陽書房]12年2月
浅野史郎『疾走12年アサノ知事の改革白書』[岩波書店]06年5月
菊地昭典『アサノ課長が知事になれた理由』[岩波同時代ライブラリー]95年11月

 
 
 
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