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 授業科目
 Course Title
生物科学特別講義B
Special Topics in Biological Sciences B
 担当者
 Instructor
講師   西谷 和彦  前学期 集中
 単 位
 Credit
1

関連するディプロマポリシー Related Diploma Policy
自立した良識ある市民としての判断力と実践力/Judgment and practical ability as an independent citizen of sound sense
時代の課題と社会の要請に応えた専門的知識と技能/Expert knowledge and skills to address the issues of the age and the demands of society
 
到達目標 Target to be Reached
 「生物とは何か?」「我々ヒトはどのような生物か?」という問に対して、自分なりの考えを深めることが、この講義の最終目的です。そのために、我々ヒトとは対極に位置する植物の生き方を学びます。植物と動物であるヒトの生き方の違いを、細胞内の微視的な分子過程や長期に亘る生物進化の視点から理解することができれば、「植物の目」で「ヒト」を、より客観的に観ることができるはずである、というのがこの講義の前提となる考え方です。受講生諸君らが、この講義により「自身が何者か」について、より深く考えるようになれば、その目標に到達したことになります。


 
授業内容 Course Content
 講義では、陸上での植物の5億年の進化を縦糸として、その植物細胞の分子レベルの仕組みを横糸として話を進めます。そうして、縦糸と横糸の織り成す、陸上植物の生命戦略の全体像を観ることにより、植物の生き方と、我々ヒトの生き方の違いを学びます。
 具体的には、最初に、「なぜ植物は、脊椎動物よりも一億年も早く陸上に進出できたのか?」「動物と植物では、陸上環境への適応の仕方がどのように違うのか?」をまず考えます。こうして問題点を明確にした上で、「動物とは異なる植物の成長の仕組み」や、「植物が外敵から身を護り、環境の変化に耐える植物独自の生命戦略」について、植物固有の細胞構造、特に細胞壁の働きや、独立栄養の仕組みを具体的に学んでいきます。
 講義の最後には、植物の生き方を理解することの基礎科学としての意味や哲学的な意味と同時に、植物の基礎研究が社会にどのように役立つのかという点についても学びます。
 
授業計画 Course Planning
01. 陸上植物の誕生
藻類から陸上植物(有胚植物)への進化の過程で最も重要な役割を担ったと考えられる、植物固有の(1)転写因子、(2)植物ホルモン、(3)細胞壁(4)、表皮組織の、それぞれの進化について、まずその概要を学ぶ。
02. 陸上環境に適応した成長の仕組み
細胞分裂と細胞成長を制御する陸上植物独自のシステムの基盤となる細胞壁について、その構築・再編・分解の仕組みを学び、植物細胞の成長の分子メカニズムを理解する。
03. 維管束による物質輸送と個体支持 —植物の循環系と骨格系について—
維管束組織の進化を可能にした、二次細胞壁をつくる仕組みを理解し、陸上植物の大型化と水分獲得の戦略を学ぶ。
04. 植物の情報処理 —植物の知能について—
植物が様々な環境シグナルを感受し、それに適切に応答する仕組みについて、乾燥シグナルや力学シグナルなどを例にあげて学ぶ。
05. 植物の病害応答 —植物の免疫について—
植物が、細菌や菌類などの感染を防ぐ機構について、特に細胞壁の情報処理という視点から分子メカニズムを学ぶ。
06. 独立栄養から従属栄養(寄生植物)への進化 —陸上植物のこれからの進化の方向—
光合成機能を捨て、別種の植物の栄養を横取りして生きる寄生植物の生命戦略。
07. なぜ植物を研究するのか —植物学の基礎研究は何の役に立つのか— 
最後の講義では、この講義全体の内容のまとめを兼ねて、(1)人類は植物をどのように見てきたのか、(2)これまでの植物研究の歴史、(2)植物の研究は人類にどのような意味があるのか、などについて学ぶ。

 
授業運営 Course Management
パワーポイントと、配布資料を用いて、二日間に亘り合計7コマの集中講義形式で行います。

 
評価方法 Evaluation Method
各講義の最後に行う3分間クイズと、全講義終了後の感想文形式のレポートにより評価します。

 
オフィスアワー Office Hour (s)
口頭での質問や議論には講義終了直後の空き時間に可能な範囲で応じます。
電子メールでの質問をnishitan@m.tohoku.ac.jpで随時受け付けます。その際、電子メールの「件名」には「神奈川大学集中講義質問」と明記してください。



 

参考書 Book (s) for Reference
西谷和彦『植物の成長』[裳華房]2011
テイツ・ザイガー『植物生理学・発生学 』原著第6版[講談社]2017

 
 
 
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