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 授業科目
 Course Title
通信工学基礎
Basics of Communication Engineering
 担当者
 Instructor
教授   齊藤 隆弘  前学期 火曜日2時限
 単 位
 Credit
2

到達目標 Target to be Reached
 本講義の到達目標は、受講生が、各自、ディジタル通信の数学的原理、及びその基礎的技術の効用と理論限界を正確に理解し、合わせて通信技術者としてのセンスを磨くことである。
 
授業内容 Course Content
 本講義が対象とする「通信工学」とは、「外界からセンサー経由で得られた観測信号をディジタル化し、さらに処理・加工したものを、最終的には人間が利用するために遠隔地に伝送し、あるいは記憶媒体に記録する」ための技術体系を総称したものである。
 本講義では、ディジタル通信の数学的原理と基礎的技術について講義するとともに、外界からセンサー経由で得られた観測信号として、音や画像を取りあげ、そのディジタル化技術、処理技術、通信技術の基礎的概念についても講義を行う。
 
授業計画 Course Planning
 具体的な講義項目は以下の通りである。なお、授業回数は、一応の目安である。学生諸君の理解度により、項目ごとの時間数が増減する。
 講義は、パワーポイントを用いて行う。なお、使用するパワーポイント資料は、事前にdot campusにアップロードする。各自ダウンロードし、印刷し、予習した上で、講義に持参すること。また、復習のための問題集を事前にdot campusにアップロードする。各授業回の最後に、問題集の中から復習のための問題を指示し、解答のためのヒントを与える。各自、指示された問題の解答を試みること。また、学習課題として、学習した内容に関連した具体的な通信・放送方式や通信・放送システムについて調査報告するレポートを、まとまった単元の終了時に課す。
第1回 シラバスの記載事項について確認する。序論:通信工学入門
 まず、シラバスの記載事項について確認する。その上で、現代社会における工学の役割、及び通信技術の役割について学ぶ。また、ディジタル化された音や画像を取り扱うディジタル画像通信の基盤となる要素技術とその要求仕様を学ぶ。
 復習のポイント: 通信工学以外の工学技術の現代社会における役割について考える。
第2回 人間の視聴覚特性と通信
 通信・放送システムを利用するのは人間であり、それを設計するには人間の感覚や知覚の特性を考慮する必要がある。そこで、視聴覚特性について学ぶ。また、人間の視聴覚特性がどのようにディジタル通信・放送システムの設計に考慮されているかの事例を概観する。
 復習のポイント: TV放送などの通信・放送システムの設計に人間の視聴覚特性はどのように利用されているかを調べてみる。
第3回 フーリエ解析-確定的信号の周波数分析
 通信工学の基礎となる数学について学ぶ。具体的には、確定的信号の周波数分析について学び、複素フーリエ級数展開、フーリエ変換、周波数応答関数、電力スペクトル密度、ウィーナ・ヒンチンの定理を理解する。
 復習のポイント: 確定的信号に対するウィーナ・ヒンチンの定理を証明してみよう。
第4回 信号の標本化
 人間の視聴覚特性を考慮し、音や画像を標本化する手法について学ぶ。また、標本化定理とその限界について学び、とくに標本化定理の帯域制限条件や、標本化によって発生するエイリアシング歪の概念についての理解を深める。
 復習のポイント: 映像信号などの具体的な信号について、帯域制限条件とエイリアシング歪の意味を考えてみる。
第5回 信号の量子化
 人間の視聴覚特性を考慮し、音や画像の標本値を量子化する手法について学ぶ。また、量子化によって発生する歪の統計的評価、及び最適量子化器の設計法についても理解を深める。
 復習のポイント: ディジタル音響機器における量子化について調べてみる。
第6回 不規則信号論
 準備として、確率・統計の基礎的概念について復習する。ランダム性を有する信号の統計的モデリングや周波数分析について学び、自己相関関数、電力スペクトル密度関数、ウィーナ・ヒンチンの定理、ウィーナフィルタを理解する。また、白色ガウス性雑音の統計的性質について学ぶ。
 復習のポイント: ウィーナ・ヒンチンの定理を適用し、自己相関関数から電力スペクトル密度関数を計算してみる。
第7回 変調と復調
 信号空間の考え方を学び、これを用いて変復調が数学的に簡潔に記述できること、さらには統計的に最適な復調法を理解する。
 復習のポイント: 具体的な変調方式について、最適復調法を構成してみる。
第8回 様々な変調方式と多重化法
 振幅変調、周波数変調、位相変調等の各種のディジタル変調方式と、それらの最適復調法について学ぶ。さらに、各種の多重通信方式についても概観する。
 復習のポイント: 実際の放送・通信システムで採用されている変調方式について調査してみる。
第9回 符号化理論① 情報量とエントロピー
 情報量の概念、無記憶情報源、マルコフ情報源、平均情報量(エントロピー)、情報源の拡大の概念について学ぶ。
 復習のポイント: 具体的な情報源について平均情報量を計算してみる。
第10回 符号化理論② 情報源符号化とエントロピー
 一意に復号可能な符号と瞬時符号、クラフトの不等式、Shannonの情報源符号化定理について学び、情報源符号化の性能限界について理解する。
 復習のポイント: Shannonの情報源符号化定理の証明を丹念に追いかけてみる。
第11回 符号化理論③ 各種の情報源符号化法
 ハフマン符号化やランレングス符号化などの実際の情報源符号化法について学び、効率的な符号化法の設計法を理解する。
 復習のポイント: 具体的な情報源に対して効率的な情報源符号を設計してみる。
第12回 符号化理論④ 離散的通信路と最大事後確率判定法
 離散的通信路の定義とその統計的性質、受信誤り率を最小とする最大事後確率判定法について学ぶ。また、最大事後確率判定法の推定、診断、パターン認識への応用について学ぶ。
 復習のポイント: 具体的な離散的通信路に対して最大事後確率判定規則を求めてみる。
第13回 符号化理論⑤ 離散的通信路と通信路容量
 離散的通信路の相互情報量、通信路容量、Shannonの情報源符号化定理について学び、通信路符号化の性能限界について理解する。
 復習のポイント: 具体的な離散的通信路に対して相互情報量や通信路容量を計算してみる。
第14回 符号化理論⑥ 通信路符号化
 誤り検出符号や誤り訂正符号の原理、誤り訂正符号の実例について学び、通信における誤り制御の考え方を理解する。
 復習のポイント: 簡単な誤り訂正符号を取り上げ、その復号法を実際に構成してみる。
第15回 符号化理論⑦ 画像の圧縮符号化 & まとめ
 静止画像や動画像の圧縮符号化のための基本技術、国際標準化方式(JPEG、MPEG、H.265等)の概要について学び、画像の圧縮符号化の考え方を理解する。最後に、本講義で学んだ内容を要約し、復習する。
 復習のポイント: 画像の圧縮符号化の国際標準化活動について調査する。また、各自、通信・放送システムの未来像を描いてみよう。
 
授業運営 Course Management
 おおむね授業計画に従って、授業時間毎に履修すべき事項について、パワーポイントを用いて解説する。毎回出席することが重要である。講義で使用するパワーポイント資料の主要な部分は、事前にdot campusを用いて配布する。また、学習内容の理解を確実にするため、学習した内容に関連した具体的な通信・放送方式や通信・放送システムについて調査報告するレポートを、まとまった単元の終了時に課す。
 
評価方法 Evaluation Method
 ディジタル通信の数学的原理、及びその基礎的技術の効用と理論限界を理解することが重要であり、この観点から、学期末試験90%、レポート10%として総合評価する。通信・情報系、すなわちICT関連の専門技術者を目指す学生諸君は少なくとも70点の評価を得ることが望ましい。
 
オフィスアワー Office Hour (s)
 毎週火曜日、講義終了後13時までの時間帯、23号館6階23-618室(画像工学研究室)で質問等を受け付ける。
 
使用書 Textbook (s)
 講義で使用するプリントとパワーポイント資料を事前にdotcampusにアップロードする。
参考書 Book (s) for Reference
小川英一『マルチメディア時代の情報理論』[コロナ社]
笠原、田中『ディジタル通信工学』[昭晃堂]
今井秀樹『情報理論』[昭晃堂]

 
 
 
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