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 授業科目
 Course Title
最適設計特論
Advanced Optimum Design
 担当者
 Instructor
教授   藤本 滋  後学期 月曜日1時限
 単 位
 Credit
2

到達目標 Target to be Reached
 本講義の到達目標は,①原子力プラントの耐震設計および耐震安全設計の考え方を通じて,耐震安全のための最適設計の考え方を理解するとともに,②原子力プラントの耐震設計手法と耐震安全評価手法を理解し,③具体的な耐震設計上の演習問題を解くことにより,構造物の耐震安全設計のための最適設計問題に対処できる基礎的能力を身につけることである.
 
授業内容 Course Content
 我が国をはじめアジア地域は世界有数の地震地帯であり,電力需要が大幅に高まっているアジア地域で建設される原子力プラントにおける原子力安全の要は,原子力耐震安全にありと言っても過言ではない.2011.3.11の東北地方太平洋沖地震の地震動や津波により福島第1原子力発電所の事故が発生し,原子力施設の安全確保が根本的に問われている.講義を通し,原子力発電所の耐震安全性確保のための考え方やその最適な安全設計法を会得してほしい.
 学部では,機械力学ⅠとⅡや材料力学ⅠとⅡから,構造物の動的挙動解析法や構造物が力を受けた際の構造材料の強度評価法を学んだ.本講義では,これまでに修得した知識を基本として,原子力耐震工学ための新たな解析手法や設計手法を習得すると共に,耐震設計された機械設備に対して安全評価を行うための確率論的リスク評価法(Probabilistic Risk Assessment;PRA)について新たに講義する.また,これらの講義においては,演習問題を解くことで各設計手法の理解を深める.
 
授業計画 Course Planning
 各回の講義内容は下記に示すように予定しているが,講義内容や時間の関係で若干前後する場合もある.講義は,基本的には講義時に配付する配付資料に基づいて行う.後掲の参考書は,講義後の復習を行う場合に,より理解を深めることができる図書である.参照できる参考書や参考文献については,講義時にも紹介する.
 講義では,講義時に配付する配付資料に基づいて行うので,講義後の復習と講義時に課す宿題を必ず行い,学んだ知識を定着させることが重要である.また,わからなところは,オフィスアワー時に質問をしたり,次回講義時に質問をして理解を完全なものにしてほしい.さらに,講義時に紹介する参考文献を読むことを勧める.知識が広がり,より広い視野を持って講義を受けることができるようになる.

1.東北地方太平洋沖地震と原子力発電所の事故の現状および地震発生のメカニズム
  まず、シラバスの記載事項について確認する。
  原子力発電所の安全性については,東北地方太平洋沖地震時の津波による福島第一原子力発電所の事故を抜きには語れない.ここでは,この原子力発電所の事故の現状とその原因および津波を引き起こした地震発生のメカニズムについて解説する.
2.①原子力発電プラントの構造・設備構成 ②原子力機器・配管の耐震設計の考え方
  原子力発電所の発電プラント(以下,原子力プラント)の構造・設備構成を理解した上で,原子力機器・配管の耐震設計の考え方について解説する.
3.静的耐震設計法(震度法と地震時保有水平耐力法)
  原子力プラントの耐震設計に必要な建築基準法に耐震設計法に基づいた静的耐震設計法について学ぶ.
4.①1自由度系の地震応答と床応答スペクトル ②地震荷重の考え方
  原子力プラントの耐震設計で用いられる動的耐震設計法の基礎について学ぶとともに,機器の耐震強度の評価方法について学ぶ.
5.多自由度系の振動特性と原子力耐震設計への応用の考え方
  原子力プラント機器・設備の多くは多自由度振動系と見なされる構造であるため,床応答スペクトルを耐震設計に適用するための考え方について学ぶ.
6.多自由度系の自由振動(基準座標によるモード分離)
  多自由度振動系におけるモード分離の考え方とモーダル理論について学ぶ.
7.多自由度系の強制振動(振動モード,刺激係数および刺激関数)
  多自由度振動系におけるモード分離した各振動モードの運動方程式から得られる刺激係数および刺激関数の考え方と床応答スペクトルを用いた地震応答算出法の基本的考え方について学ぶ.
8.多自由度系のモーダルスペクトル解析(地震応答解析法)
  多自由度構造物を対象に,床応答スペクトルを適用した場合の構造物の地震応答の求め方について学ぶ.さらに,具体的な多自由度構造物を対象にしたモーダルスペクトル解析の演習を行い,この手法の理解を深める.
9.地震応答低減の考え方(制振・免震設計法)
  原子力プラントにおける地震応答を低減する手法として適用されている制振設計法や免震設計法について学ぶ.
10.機器・配管系の耐震設計と耐震性の実証及び耐震限界の把握(1)(機器耐震設計法)
  原子力プラントにおいて,実施している耐震設計方法と耐震実証方法の考え方について学ぶ.
11.機器・配管系の耐震設計と耐震性の実証及び耐震限界の把握(2)(機器耐震試験による耐震評価法)
  実際の原子力プラントにおいて,実施している具体的な機器・設備の耐震設計方法と耐震実証方法による耐震評価方法の考え方について学ぶ.
12.地震リスク評価のための考え方と基礎理論
  耐震設計は,ある想定された地震動に基づいて機器・設備の耐震設計が行われるが,実際の地震動はそれを上回る可能性は否定できない.ここでは,地震動が設計地震動を上回った場合も含めることができる確率的な地震動(地震ハザード)を用いて機器・設備の耐震安全性を地震リスクという観点から評価する手法について,その基礎理論について学ぶ.
13.地震ハザードと機器フラジリティを用いた機器損傷頻度
  地震ハザードと機器・設備の損傷確率(機器フラジリティ)から機器・設備の損傷頻度を求める手法の考え方について学ぶ.
14.地震リスク評価と地震リスクマネジメントの考え方
  原子力プラントでは,極めて多数の機器・設備が組み合わされて設置されている.このため,原子力プラントでは,多数の機器・設備が組み合わされたプラントシステムとして耐震安全性が確保されなければ成らない.ここでは,プラントシステムとしての損傷頻度あるいは確率的安全の考え方と,これを用いたプラントシステムとしての最適な耐震安全設計のための意志決定の考え方について学ぶ.
15.地盤・土木・建屋・機器フラジリティ評価と耐震裕度評価 
  原子力プラントの具体的な重要な機器・設備について,実際に地震リスクを評価した事例について学び,実際の原子力プラントでのこれらの機器・設備の最適な安全設計の考え方について理解する.

 
授業運営 Course Management
 全て講義形式による.授業運営の詳細については,初回授業時間中に改めて説明するが,講義資料は必要に応じて講義時に配付する.講義によっては,演習問題を解く場合があるため,講義には必ず関数電卓を持参すること. なお,授業中の電子機器(スマートフォン,携帯電話,ゲーム機)使用は厳禁ずる.ただし,特別な事情がある学生で担当者が特に許可した場合を除く.携帯電話やスマートフォンはマナーモード(音声不可))とし,カバンの中にしまっておくこと.特に悪質な違反者は評価の対象としない.
 
評価方法 Evaluation Method
 講義中の演習問題・宿題のレポートを50%,小テストを20%,期末試験を30%として評価する.出席状況は評価の対象としないが,講義を4回以上欠席した者は評価の対象としない.また,30分以上の遅刻は欠席と見なす.
 
オフィスアワー Office Hour (s)
 原則として講義終了後に受け付ける.時間の都合がつかない場合や後日質問のある場合は,研究室(12号館24室)で受け付ける.ただし,来訪前にメールで事前に予約および期日の確認を取ること.メールアドレスは最初の講義時に伝える.
 

参考書 Book (s) for Reference
長屋幸助『機械力学入門』[コロナ社]
下郷太郎 田島清瀬『機械系大学講義シリーズ11 振動学』[コロナ社]2002
亘理厚『機械振動』[丸善]1973
「機械振動」は多くの機械力学関連書籍により参考されているが,絶版になっているので,図書館で探すこと.
 
 
 
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