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 授業科目
 Course Title
先端科学特論
Frontiers in Science
 担当者
 Instructor
教授   上田 渉  後学期 火曜日4時限
 単 位
 Credit
2

到達目標 Target to be Reached
大学院学生が、現代社会を支えるエネルギーと化学物質が触媒によってどのように生み出されているか、その現代化学工業論を知り、その中での触媒の作用の原理を物理化学的に理解し、触媒物質を生み出すための方法論を無機合成化学的に学び、触媒反応を設計的に組み立てる化学力を身につけることを目標とする。
 
授業内容 Course Content
石炭、石油、天然ガス資源からバイオマス、光資源の利用に至る資源・エネルギーの変遷をたどる歴史観をしっかりさせた上で、現代の化学工業の成り立ちを深く把握できるように、その一つ一つの例から触媒の位置づけを明らかにし、将来のあるべき、また必要な触媒は何かを考えることができるように、プログラム的に講義する。その理解のために、折々において背景にある触媒化学を分かりやすく明示し、同時に触媒が生み出される合成技術とその化学を一体として示す。このようにして体系的に整理された触媒化学の知識をもとに、最後の段階では、新たに触媒を設計する実践的思考実験を実施する。
 
授業計画 Course Planning
各回の具体的講義内容は次のように予定する。各講義のタイトルに従って、関係情報、知識をすでに持っている教科書からや図書館等で事前にある程度得ておくことを勧める。

1.ガイダンス/触媒と触媒作用とは何か
 身の回りにある物質が触媒によってどのように作られ、また触媒が生活にどのように役立っているかを意識することから、触媒の持つ作用や機能を概念的に捉える。

2.エネルギー・資源利用技術と触媒
 石炭、石油、天然ガス資源からバイオマス、光資源の利用に至る資源・エネルギーの変遷をたどりながら、その中での触媒の関わりを歴史観を通して捉える。そして、現代の化学工業の成り立ちにおける触媒の位置づけを明らかにする。

3.石炭、石油、天然ガスの化学工業と触媒/アンモニア合成触媒の化学
 石炭、石油、天然ガスを基幹炭素資源とする化学工業の一つひとつの実際例から触媒化学を学ぶ。ここではアンモニア合成触媒を例に、何故鉄触媒なのか、担体の役割は何か、などを吸着の化学と反応速度論を併用して理解する。

4.石油、天然ガスの化学工業と触媒/炭化水素のクラッキング触媒の化学(1)
 石油の大きな炭化水素分子を分解してガソリン留分にするゼオライト触媒の化学を理解する。ゼオライトの無機化学とその無機合成化学を詳述する。

5.石油、天然ガスの化学工業と触媒/炭化水素のクラッキング触媒の化学(2)
 石油の大きな炭化水素分子を分解してガソリン留分にするゼオライト触媒のもつブレンステッド酸点を理解し、カルベニウムイオン反応機構を通して反応の進む方向を推測する。また、ゼオライトの持つ細孔反応場の役割を考える。

6.石油、天然ガスの化学工業と触媒/水素が関係する反応の触媒の化学
 天然ガスから水素や一酸化炭素を合成する反応や炭化水素の炭素骨格を変化させる反応、有機物を水素化する反応の金属ナノ粒子触媒を、その構造、サイズ、異種元素と合金効果、担体との複合効果から理解し、金属触媒設計の基本要素を学ぶ。

7.石油、天然ガスの化学工業と触媒/酸化反応の触媒の化学(1)
 石油、天然ガス化学工業において実施されている数多くの酸化反応の実例を体系的に整理する。

8.石油、天然ガスの化学工業と触媒/酸化反応の触媒の化学(2)
 体系的に整理された酸化反応を理解するために、酸素の活性化の化学を学び、そこでの触媒の作用を原子レベルで理解する。

9.石油、天然ガスの化学工業と触媒/酸化反応の触媒の化学(3)
 触媒作用の重要な要素である反応選択性を理解するため、酸化反応を例に選択性が生まれる原理を理解し、同時にそれを制御する方法を考える。

10.環境触媒の化学と技術
 自動車触媒、脱硝触媒、脱硫触媒などの環境触媒の実例を通して、複数の触媒機能が協奏的に働く触媒化学を学ぶ。

11.グリーンケミストリーの触媒化学
 資源・エネルギーを有効に使い、高い効率で有機物を合成する化学の考え方を学び、その中での触媒利用の有効性を捉える。

12.光触媒の原理と無機化学、触媒化学
 日本が先端を走る固体光触媒研究の全体像をふまえた後、光触媒の原理、金属酸化物物質のバンド構造、表面触媒物質の作用を理解する。

13.固体触媒の調製化学、合成化学
 金属触媒と金属酸化物触媒を例に、その調製、合成化学の実際例を通して、その複雑さを知るとともに、そのプロセスに内在する物質化学を体系的に学ぶ。

14.触媒を設計する実践的思考実験
 講義開始当初に提示された課題を、13回の講義の中で少しずつ考え、学生のオリジナルな発想で生まれた触媒設計の結果を発表する。

15.触媒を設計する実践的思考実験
 講義開始当初に提示された課題を、13回の講義の中で少しずつ考え、学生のオリジナルな発想で生まれた触媒設計の結果を発表する。
 
授業運営 Course Management
講義では、当日配布の資料、及び資料の補足用のスライド資料をもとに、例を多く示して触媒の理解を深めるようにする。
 
評価方法 Evaluation Method
レポート100%

 
オフィスアワー Office Hour (s)
質問等は講義後のその場で。
 


 
 
 
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