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 授業科目
 Course Title
確率ネットワーク特論
Stochastic Network Theory
 担当者
 Instructor
教授   藤岡 淳  後学期 木曜日2時限
 単 位
 Credit
2

到達目標 Target to be Reached
本講義の到達目標は、受講生が、ネットワーク通信における安全性を確保する技術である暗号技術に関して、1.情報理論的安全性、2.計算量理論的安全性、のそれぞれの観点から学ぶことを通じて、情報セキュリティにおける中核の技術となる暗号技術について、先端的分野の基礎知識を修得することである。

暗号技術やその安全性をどうモデル化すればよいのかを学ぶことを通じて、暗号理論に関する基礎知識を得るととともに、具体的な構成手法を理解することで、情報セキュリティ技術者に必要となる知識を学習できる。
 
授業内容 Course Content
この講義では、下記の参考書をベースに、暗号技術の基本理論を押さえていく。

暗号技術は、数学的手法に基づいて構成されており、その中核に情報理論、計算量理論、整数論が存在する。それらとともに、暗号技術のモデル化について学習し、これら数学的手法がどのように応用されているかを、1.情報理論の基礎とその応用によるバーナム暗号の安全性解析と秘密分散法の構成、2.計算量理論に基づく公開鍵理論の概説とその安全性証明、によって習得する。また、具体的な構成例を精緻に理解することで、これらの理論がどのように適用されているかを学習する。

ここでは、数学的手法と暗号技術のモデル化を理解することで、基礎知識を修得することを目的とし、そのため、ブロック暗号などの共通鍵暗号理論については詳細には扱わない。
 
授業計画 Course Planning
各回の講義内容は一応次のように予定しているが、時間の関係で若干前後する場合もある。

基本的な内容について知識があることを前提に講義するので、予習として、1.参考書や類似書で各回の関連頁を予め読んでくること、2.分からない用語について、自分なりに調べてみること、の二点が不可欠である。

また、復習としては、講義で示された課題について自身で確認し、学んでおくことを勧める。

1. 情報量
Shannonによって体系付けられた情報理論を元に、情報、情報量について学ぶ。
2. バーナム暗号
絶対に安全な暗号とはなにか、その実現可能性を議論し、その代表例でバーナム暗号について学ぶ。
3. 秘密分散法
情報を安全に保管する技術である秘密分散法をShamirの多項式補間法を例に学ぶ。
4. 暗号技術
共通鍵暗号、公開鍵暗号の概念を学ぶ。各種暗号技術について知る。
5. 計算量理論
困難な問題のTuring機械によるモデル化と困難な問題の代表例として素因数分解問題について学ぶ。
6. 公開鍵理論
公開鍵方式とその安全性に対するTuring機械による定式化について学ぶ。
7. 安全性理論
暗号技術の安全性を帰着という概念をベースに学び、ランダムオラクルモデル(ROM: Random Oracle Model)について学習する。
8. 整数論
公開鍵暗号を構成する際に重要な概念である群、環、体に加えて、素因数分解問題に類似するRSA問題について学ぶ。
9. 公開鍵暗号
暗号のモデル化とその安全性である識別不可能性について学ぶ。
10. RSA-OAEP
公開鍵暗号の一例であるRSA-OAEPについて学ぶ。
11. RSA-OAEPの安全性
RSA-OAEPの安全性がRSA問題に帰着されることを学ぶ。
12. ディジタル署名
署名のモデル化とその安全性である偽造不可能性について学ぶ。
13. RSA-FDH
公開鍵暗号の一例であるRSA-FDHについて学ぶ。
14. RSA-FDHの安全性
RSA-FDHの安全性がRSA問題に帰着されることを学ぶ。
15. 最新研究動向
各種暗号プロトコルと暗号理論の最新動向について知る。

 
授業運営 Course Management
全て講義形式による。
1. 出欠をとる。10分以上の遅刻、ならびに途中退出した場合は、欠席とみなす。
2. レポート提出(5回)を求める。

なお、授業中の電子機器の使用は一切禁ずる(但し、担当者が特に許可した場合を除く)。携帯電話の電源は切ること(マナーモード不可)。授業中、積極的に電子辞書を引いている学生をよく見かけるが、授業中は講義及びそれを聴きながら自分の頭に浮かんだ考えや疑問の方を大切にし、それをノートしておくことが効果的である。講義終了後に復習の一環として用語の確認等をすること。

 
評価方法 Evaluation Method
レポートの内容により評価する(5回のレポート点数を総計する)。評価基準としては、出題の意図を正しく捉えて論理的に回答を述べているものに基本点として15点(レポート毎)を与え、以下、記述内容の正確さ、用いた論理の明確さ等々により加点し、文章の拙劣さ、余計な表現・表記や誤字・脱字等を適宜減点する。

講義を4回以上欠席した者は評価の対象としない。

 
オフィスアワー Office Hour (s)
金曜日の12:10~12:50(会議等の時間を除く)に研究室(23-802)で行う。但し、学内会議等が多いため、アポなしのときは対応できない場合もあるのでE-mailなどで事前予約の上、来訪のこと。なお、質問や指摘は講義後にも受け付ける。

 
使用書 Textbook (s)
適当な本が無いので,配布資料と参考書の参照によって進める.
参考書 Book (s) for Reference
黒澤 馨『現代暗号への招待』[サイエ ンス社(ライブラリ 情報学 コア・テキスト 16)]2010
森山 大輔, 西巻 陵, 岡本 龍明『公開鍵暗号の数理』[共立出版(シリーズ応用数理 2)]2011

 
 
 
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