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 授業科目
 Course Title
被害者心理学
Psychology of Victims
 担当者
 Instructor
教授   市井 眞知子  後学期 金曜日2時限
 単 位
 Credit
2

到達目標 Target to be Reached
 本講義の到達目標は、①被害や被災に遭遇した人々の心の痛みとは、どのようなものかを学び、トラウマとPTSDへの理解を深める。②いじめ、児童虐待、DV、非行の加害と被害等の事態に引き起こされる要因について考える。③様々な支援法を学び、支援に当たって留意すべき点を習得しておくなどである。
 
授業内容 Course Content
 未曾有の大災害となった東日本大震災と福島第一原発事故は、私たちにとって大きな衝撃となったが、さらに昨年は日本各地で多くの自然災害に見舞われ、一層の防災意識を高めることになった。そうした中で、災害に遭遇した人々の心の痛みは、今なお心に刻まれていると推察される。一方で、いじめ被害においても後を絶つことがなく、また、マスコミで取り上げられているストーカー事件や虐待被害事件も深刻化している。
 このように誰もが何らかの被害に無関心でいられない昨今、まずはトラウマ反応とPTSDの概念を把握する。その上で、いじめや児童虐待、DV等の被害、犯罪被害や自然災害被災などの現状と行政による施策を紹介し、被害・被災に遭遇した人々の回復過程を取り上げる。いじめや児童虐待等の被害者が、実は犯罪や非行の加害に及ぶこともあり、その連鎖現象も見ていくとともに、被害・被災状況に応じた適切な支援のあり方も紹介する。


 
授業計画 Course Planning
 各回の講義内容は以下のように予定しているが、タイムリーな話題を取り上げることや、外部講師を招聘する予定があるので、授業日程が若干前後することもある。
予習として、①資料を事前に目を通しておく、②前回予告・指示したことを調べる、③参考文献で該当箇所を調べるなどを行ってもらいたい。復習は、配布した資料を整理して内容を確実に理解しておくこと。

1 ガイダンス、被害者心理学の学び方
   被害者心理学や危機への心理的支援学が確立した経緯について概括し、被害者心理学がどういう学問かを理解する。
2 トラウマとPTSD(1)
   トラウマとは何か、PTSDとはどういうことなのかなどを最初の段階で押さえておく。
3 いじめ被害
   年々深刻化しているいじめの実態と発生するメカニズムについて把握し、その対策と被害者への支援方法を学ぶ。
4 児童虐待(1)
   児童虐待の定義を学んだ上で、その実態を知る。
5 児童虐待(2)
   児童虐待行為に及ぶ要因について学び、さらに心身への影響について考える。
   1~5の講義内容を踏まえて課題を指定するので、レポート(1)を作成し、第7回講義時に提出する。
6 ドメスティック・バイオレンス(DV)
   被害の実態と支援方法を知る。すでに「犯罪心理学」で取り上げたストーカー被害についても触れていく。
7 非行の加害と被害
   虐待の世代間連鎖と、被虐待体験のある少年が非行や犯罪に及ぶその心理的な背景や行動特徴を学ぶ。
   レポート(1)を提出。
8 トラウマとPTSD(2)
   タイプ別トラウマ反応とPTSD症状、二次的被害について学ぶ。
   レポート(1)の解説をする。
9 犯罪被害者の心理(1)
   犯罪被害者の遺族と被害の当事者となる性犯罪被害者の心境や葛藤などを紹介し、心の痛みへの理解を深める。
   6~9の講義内容で課題を指定するので、レポート(2)を第11回講義時に提出する。
10 犯罪被害者の心理(2)
   被害者の回復過程を学び、その道のりを知る。
11 自然トラウマとPTSD(2)
   タイプ別トラウマ反応とPTSD症状、二次的被害について学ぶ。 災害被害の実態
   特に東日本大震災と福島第一原発事故等の災害について取り上げる。
   レポート(2)を提出。
12 被害者・被災者への心のケア
   被害・被災直後の緊急支援の状況やその方法について学ぶ。
   レポート(2)を解説する。
13 自然災害被害への心のケア
   心理教育やストレスマネージメント、支援者自身のストレスやそのケアについても学ぶ。
14 臨時試験(成績評価対象)
15 外部講師による講演会
   被災者や被害者への支援業務に就かれている専門家を招へいし、その活動についての紹介を講演会で行う。




 
授業運営 Course Management
 配布資料に基づいて講義を中心に行い、随時動画等を取り入れる予定である。また、犯罪被害に遭遇したとされる仮想事例を紹介することにより、トラウマ反応やPTSDの症状を把握し、支援への共感的な理解を持てるようにする。レポートでは、資料の内容をさらに深めることがねらいであり、被害者心理学への論理的な思考ができるようにする。なおリアクションカードを用いて、授業の振り返りを適宜行うことも考えている。レポートやリアクションカードを提出した翌週には、皆がどのようなとらえ方をしているかを解説し、その情報を共有できるようにする。
 
評価方法 Evaluation Method
 成績評価基準は、第14回に行う臨時試験の成績を80%、レポートを20%とする。試験では専門用語の説明や事例の考察など記述式が主である。なお試験時は、資料やノートの持ち込みを可とする。
 以上を総合して、出題の意図を汲み取って適切な説明や論理的考察ができていれば、基本点の60点とし、さらに豊富な情報を基に理論を踏まえた上での私見が述べられている場合は加点する。
 試験についての解説とまとめは、試験終了後に「dot-campus」に掲載する。





 
オフィスアワー Office Hour (s)
 金曜日 12:00~13:00、木曜日 14:30~15:30の時間に研究室(17-204)へ。
 授業終了後の質問も受け付ける。


 
使用書 Textbook (s)
日本心理臨床学会支援活動プロジェクト委員会編『危機への心理支援学』[遠見書房]2010
藤森和美編『被害者のトラウマとその支援』[誠信書房]2001
小西聖子『トラウマの心理学』[白水社]2012


 
 
 
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