[前へ戻る]
   

 授業科目
 Course Title
地方自治論
Local Government 
 担当者
 Instructor
教授   浅野 史郎  後学期 水曜日3時限
 単 位
 Credit
2

到達目標 Target to be Reached
本講座においては、地方自治論Ⅱの内容をさらに深めるために、自治体行政の中身に関わり、具体的に福祉行政、公共事業の執行、廃棄物行政について考察する。さらに、地方議会のあり方について、特に住民との関わりの観点から理解を深める。理屈、理論を基礎に置きながら、自治体行政の実態に入り込み、その問題点の解明にまで進みたい。
 地方自治論Ⅰの受講を済ましておくことが望ましい。
 
授業内容 Course Content
授業においては、地方自治の現場での問題点と今後の展望について、実証的に考察する。
 後期においては、主に、地方自治の実際の場面に即して考察を進める。選挙の実態、公共事業の執行、福祉政策、廃棄物政策、住民参加、行政改革、公務員制度、人事政策の実際など、地方自治体が具体的政策について、どのような動きをするのか、最新の状況を見ながら、その問題点を論じる。
 
授業計画 Course Planning
授業計画は以下のとおりである。講義の進捗状況により、一部、変更はありうる。
 ほぼ毎回、次回の授業内容に関係する簡単な課題(宿題)を課す。課題は、次回授業の際に提出する。その課題をこなすことが、授業の予習となる。

第1回 授業紹介/住民と住民組織
 自治体住民とは何者か。住民は自治体との関係において、どんな役割を持っているのか。住民の権利、義務にはどういったものがあるか。基本的なところについて理解を深める。

第2回 住民参加
 住民が自治体行政に直接参加する制度について論じる。さらに、最近の動きとして、住民参加の新しい実践について考察する。

第3回 選挙と代表
 講師が実際に選挙を戦った経験から、選挙の実態、候補者となるまで、選挙の戦い方、選挙結果の総括などを生々しく語る。そこから、選挙の意義、住民の関わり方について、考察する。

第4回 議会と執行機関(二元代表制)
 地方議会と執行機関との実際の関係について、実態を紹介しながら、あるべき姿を考察し、現状の問題点まで論じる。

第5回 市町村と都道府県
 市町村は基礎的自治体として、地方自治の最先端の役割を担う。市町村と国との間に存在するのが、都道府県である。市町村との関わりの中で、都道府県の役割はどう理解すればいいのか。今後のあるべき姿についての考察まで進む。

第6回 自治体と国
 地方分権論議の前提となる問題として、自治体が国との関係において、どういった立場にあるのかについて考察する。その中で、実際の行政の執行において、自治体としての裁量がどう制限されているのか。具体的な問題点について論じる。

第7回 公務員制度
 地方公務員制度の内容を概観する。公務員の役割と責任はどうなっているか。具体的には、採用、配置、研修、昇格、退職などの人事管理の中身を説明する。公務員制度改革の方向を探り、さらには望ましい公務員像についても付言する。

第8回 自治体の組織
 自治体の組織について解説する。具体的な自治体組織がどのように動いているのか、業務執行の実際を概観する。

第9回 自治体の政策決定
 自治体の政策活動の実態を概観する。自治体の政策決定が組織内でどのような仕組みでなされるのか。長期的な政策を決定するために、総合計画がどのように位置づけられているのかについて、問題点を意識しながら、論じていく。

第10回 行政評価と行政改革
 自治体行政の運営において、行政評価は新しい動きとして注目されている。内部的な評価、外部からの評価、その実際と仕組み、さらに具体的問題点について論じる。自治体の財政状況が厳しさを増す中で、自治体は行政経費の削減を主な目的とした行政改革に真剣に取り組んでいる。行政改革の実態とその目指すもの、成果はあがっているのかについて考察する。

第11回 福祉行政
 自治体行政の実際の第1弾。福祉行政は、自治体主導で進められている。障害福祉行政、介護保険、生活保護を例にとり、その運営の実態と問題点について論じる。

第12回 公共事業の執行と入札制度
 景気回復の切り札として公共事業の執行が自治体で盛んであった。その副作用として、自治体の借金の増大がある。さらには、公共事業の執行における入札制度の問題がある。「官製談合」という自治体の恥部も明らかになっている。こういった経過を追いながら、自治体の公共事業の執行についての問題点を論じる。

第13回 廃棄物行政
 廃棄物問題は、住民にとっては、ゴミ処理という日常的なできごとであることから、自治体行政への関心の始まりである。産業廃棄物処理施設の設置については、住民の反対運動にまでつながる。廃棄物の不法投棄をどう規制するかは、自治体にとって難問である。そういった実態に迫りながら、自治体行政のあり方、住民の関わりについて考察する。

第14回 マスコミの役割
 自治体行政とマスコミとは、対立する局面が多い。地方紙と全国紙の違い、警察取材のあり方、記者会見の実際などについて紹介しながら、自治体とマスコミの関係のあり方について考察する。特に、知事たるもの、マスコミ対応は重要な事項である。知事としての経験から考えたこと紹介する。

第15回 これまでのまとめと補足
 これまでの授業で扱った内容で、特に重要なものについて、念押し的な説明をする。授業で触れなかったことで、重要なものについて、補足することとする。学生からの質問、「これについてもう一度」といったリクエストに答える場面も予想している。
 
授業運営 Course Management
授業は、パワーポイントの使用もまじえながら、講義形式で行う。質問は、講義時間確保のために、授業中ではなく、コメントシートに記述する形で受け付ける。回答は、次回授業のレジュメに、質問内容とともに掲載する。
 その日の授業内容の項目を記載したレジュメを配布する。レジュメには、前回の質問への回答、前回提出されたコメントシートに関するコメントも記載される。
 授業中の電子機器の使用は禁ずる。携帯電話の電源は、授業終了後に入れること。授業中の私語、飲食は、禁止する。

 
評価方法 Evaluation Method
成績評価は、100点満点であり、定期試験の点数(A)と毎回のリアクション・ペーパーの記述が秀逸なものに1点、毎回の宿題の提出に1点、宿題の出来が秀逸なものにさらに1点を合計した評価点(B)の合計点(上限15点)で行う。試験は学期末に1回実施する。試験は、持ち込み不可で、記述式で85点満点。(B)は最大15点である。
 評価のポイントは、記述の正確性、記述内容の十分性が基本である。論理的でわかりやすい表現方法は、それが著しく欠けているときのみ、減点対象とする。重要な事項の誤字が多い場合も、減点対象である。
 
オフィスアワー Office Hour (s)
水曜日の10時30分—12時30分、19号館218研究室にて対応する。
 

参考書 Book (s) for Reference
柴田直子・松井望『地方自治論入門』[ミネルヴァ書房]2012
松本英昭『地方自治法の概要』[学陽書房]2012
浅野史郎『疾走12年アサノ知事の改革白書』[岩波書店]2006

 
 
 
[前へ戻る]