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 授業科目
 Course Title
固体電子論
Electron Theory of Solids
 担当者
 Instructor
教授   中田 穣治  前学期 火曜日2時限
 単 位
 Credit
2

到達目標 Target to be Reached
 物質はその成分が同じであっても固相、液相、気相というようにその相が分かれる。固相(固体)の中でも構成原子の態様によって、単結晶、多結晶、非晶質と分類される。特に単結晶に関してその構造の成り立ち、結晶の種類を総攬し、それら単結晶内部の結晶構造を分析する手段としてのX線回折(XRD)、電子線回折(RHEED, LEED)、イオンビームによる分析(Rutherford Backscattering Spectroscopy, Channeling, ERDA, PIXE)等の各種分析方法に言及し、単結晶という固体の構造を理解することを目標とする。
 また、固体単結晶の中でも金属や半導体の電気的特性に注目し、如何にして半導体の電気特性がそのミクロな結晶構造、電子構造から具現されるのかを量子力学を駆使して簡単な説明をする。この電子のエネルギー構造はバンドと呼ばれ詳細には大学院における固体電子特論の講義につながっていく。
 最終的な到達目標は、固体中のさまざまなマクロな現象がミクロな電子構造や原子の格子構造によって観測されるということを概略理解することである。
 この講義は旧カリキュラムにおける固体電子論の後継科目であり、内容的には固体電子論と同じである。
 
授業内容 Course Content
 固体物理学は3年次までに学んだ量子力学I, II, III及び統計力学I, II, IIIをベースに固体あるいは液体(気体)のマクロな各種物性(磁性、誘電特性、電気伝導特性、熱物性等)をミクロな原子レベルの挙動から説明しようとする学問である。
 固体の中でも構成原子の態様によって、単結晶、多結晶、非晶質と分類され、それらの中間的な位置を占める構造も存在する。特に単結晶に関してその構造の成り立ち、結晶の種類を総攬し、それら単結晶内部の結晶構造を分析する手段としてのX線回折(XRD)、電子線回折(RHEED, LEED)、イオンビームによる分析(Rutherford Backscattering Spectroscopy, Channeling, ERDA, PIXE)等の各種分析方法に言及し、単結晶という固体の構造を深く理解する。
 固体物理学の中で特に、電気特性に重点を置き、半導体、絶縁体、金属における電気伝導の性質を系統的にこの視点から解明しようというのが固体電子論であり、旧カリの学生の科目名となっている。従って固体物理学は旧カリ学生の固体電子論の後継科目である。主に、金属中の電子論を中心に講義を展開する。立方体中に閉じ込められた電子に対して量子力学におけるSchrodingerの波動方程式を適用し、周期的境界条件を課すことにより電子が離散的なエネルギー状態になることを、実際に波動方程式を解くことによって理解する。半導体のバンド理論は20世紀半ばにおける固体物理学の輝かしい成果であり、点接触トランジスタからプレーナー技術へ、さらにLSI(Large Scale Integration)の発展へとつながっていく。現代の情報化社会の中核となるコンピュータハードウェア技術の基礎となった学問であるが、バンド構想をなすことの導入までを固体物理(固体電子論)として系統的に学んでおくことは重要である。旧カリ学生と新カリ学生が混在する場合は、旧カリ学生にも配慮した形で講義を進める予定である。
 この講議の最終目標は固体中の電子状態を周期的な境界条件の下で結晶構成原子との相互作用ポテンシャルを含めた量子力学を使って解くと、電子のエネルギーがバンド構造を持つという大学院で学ぶ固体電子特論へのつなぎとして理解させることである。
 
授業計画 Course Planning
第1章 導入と概論
1)1.1 物質の凝集機構
2)1.2 結晶の結合力と各種結晶形態
第2章 固体の結晶構造を観測する分析手法
3)2.1 X線回折(XRD)
4)2.2 反射高速電子線回折(RHEED)
5)2.3 Rutherford Backscattering Spectrometry(RBS)
6)2.4 RBSの原理
7)2.5 固体中のイオンのエネルギーロス
8)2.6 チャネリング法
第3章 金属中の自由電子論
9)3.1 立方体中に閉じ込められた相互作用しない自由電子に対する量子力学
10)3.2 電子気体(1)周期境界条件がもたらす束縛状態における離散的エネルギー
11)3.3 電子気体(2)Fermi球の考え方とPauliの排他律
12)3.4 電子気体(3)Fermi分布と電子比熱    
13) 3.4 電子気体(4)電気伝導の機構
第4章 半導体結晶中の電子論への導入
14)4.1 結晶中電子の1次元周期ポテンシャル中の挙動
15)4.2 まとめ
 
授業運営 Course Management
適当なテーマについて何回か課題を出し、レポートを提出させる。
 
評価方法 Evaluation Method
複数のレポートによる。
 
オフィスアワー Office Hour (s)
毎週 木・金
 
使用書 Textbook (s)
黒沢達美『物性論 基礎物理学選書9』[裳華房]

参考書 Book (s) for Reference
キッテル著、宇野良清他共訳『固体物理学入門 上、下』[丸善]
キッテル著、堂山昌男監訳『固体の量子論』[丸善]

 
 
 
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